3ポイントとドライブ、マルチな活躍で勝利に貢献
女子日本代表は8月5日と7日にカナダと国際強化試合を行い、2連勝を飾った。カナダもベストメンバーではなかったが、日本も渡嘉敷来夢や藤岡麻菜美を欠く中での連勝であり、チーム強化が順調に進んでいることを結果で証明した。
主力の欠場は新たな選手にチャンスが生まれることを意味する。このチャンスをつかんだのが三菱電機コアラーズ所属の根本葉瑠乃だ。A代表デビュー戦となった5日の初戦では、15分の出場で4本の3ポイントシュートを含む14得点を挙げた。特に終盤の拮抗した場面で決めた連続3ポイントシュートは、3点差の接戦を制するのに大きな価値のあるものだった。
ただ、初戦で目立った活躍をしたことで2戦目は相手のマークが厳しくなった。その結果3ポイントシュートは4本中1本の成功に終わった。根本自身も「1試合目は自分の仕事である3ポイントシュートを気持ち良く打てて、それが入って自分のプレーが出せました。でも今日は相手も分かっていたので、止められた時にすぐ対応できなかったのがちょっと反省です」と振り返った。
だが3ポイントシュートをケアする相手を逆手に取り、ドライブから難しいシュートを成功させており、14分という限られた時間の中で8得点3アシストと結果を残した。「もともと三菱では得点を求められていたので、3ポイントシュートを止められた時のドライブはよく練習してたんです」とスコアラーとしての自負を見せる。
Wリーグでの根本は2シーズン連続で2桁の平均得点を記録しているが、代表ではシューターとしての役割を与えられている。「代表では本当に3ポイントしか打つなという感じで、3ポイントラインより中にいると『何で中にいるのっ』て言われちゃうので(笑)。でも今日は止められていたので、もう狙おうと思いました」
「たまたま感が出てしまった」と反省
トム・ホーバスヘッドコーチが求めるのが3ポイントシュートだけであっても、試合でプレーするのは根本自身だ。チームルールを守ることはもちろん大事だが、3ポイントシュートに固執せず、柔軟に対応した結果がドライブからの得点を生んだ。ホーバスヘッドコーチは、第2戦の日本の2ポイントシュートが59.5%と高確率だったことに触れ、「3ポイントシュートを打てばディフェンスが広がり、インサイドへアタックできます」と話した。その言葉は根元のプレーとリンクする。
女子日本代表は世界でも強豪と言える立場に定着しつつあり、世代交代の最中であっても選手層は厚い。ライバルは多く、誰しも一芸に秀でており、今回のカナダ2連戦での活躍があっても根本が日本代表で確固たる地位を築くまでの道のりはまだ長い。今回にしても招集されているのは14名。ここに渡嘉敷が戻るとなれば、ワールドカップを前に3人が外れることになる。
ワールドカップ本番ならともかく、今回の連戦は代表生き残りを懸けた勝負の場。根本が自分の持つ能力をすべて見せるのは決して間違っていない。それは得点に限ったものではない。「ドライブは他に得意な選手がいるから、それ以上のことはできないですけど、ディフェンスやリバウンドなら自分でもできます。オフェンスリバウンドはなかなか取れないですけど、ディフェンスリバウンドなら抑えてやればなんとかなると思うし、ディフェンスももっとレベルアップできる部分だと思うので、やっていきたいです」と、根本自身の意気込みも強い。
「前回の試合では自分の持ち味のプレーができました。でも今回の試合で3ポイントシュートとか、『たまたま感』が出てしまった感じもあります。だからもっと練習しなきゃなって」と語る根本は、代表で結果を残したことでまた新たな刺激を得られたようだ。
新たなタレントが次々と台頭する女子日本代表。こうした新陳代謝を繰り返すことで日本のレベルは上がっていく。華々しく代表デビューを飾った根本だが、そのアピールはこれからも続いていく。