ヤニス・アデトクンボ

「2人は1on1で攻めさせたら世界最高の能力を持つ選手」

バックスは過去2シーズン、60勝と56勝を挙げて東カンファレンスのトップに立った。2シーズンいずれもラプターズが食らい付いたものの、それ以下のチームには大差を付けていたのだが、今ではその優位が崩れ、西と同じように混戦模様となっている。東の勢力図を変える決定的な存在になりそうなのがネッツで、カイリー・アービングとケビン・デュラントにジェームズ・ハーデンが加わったことでポテンシャルは十分。現地18日にはバックスを相手に125-123と競り勝った。

東カンファレンスのファイナルで当たってもおかしくない対戦カードだが、まだレギュラーシーズン前半とあって両チームともディフェンスで我慢するよりも強気のオフェンスで押し合い、良くも悪くも『プレーオフの雰囲気』は感じられなかった。この時期ならではのオープンな打ち合いとなった試合は、ネッツがタレント力で押し切った。本当の勝負であるシーズン後半戦やプレーオフになれば、全く別の展開になるだろうが、これまではノーマークで済んだネッツが恐るべきライバルになりつつあるのは確かだ。

ヤニス・アデトクンボはネッツ戦を終えた会見で、ネッツへの警戒心をこう語る。「2人は1on1で攻めさせたら世界最高の能力を持つ選手で、毎試合それぞれ30得点を奪う。ちゃんと対策しなかったら50得点をやられてもおかしくない。僕らもディフェンスに力を入れたつもりだけどやられてしまったし、ネッツにはこれからアービングも戻って来る」

デュラントとハーデンのデュオが勝負どころでその得点力を発揮した一方で、バックスは冴えなかった。アデトクンボは34得点12リバウンドとスタッツは残したが、本来であれば序盤からもっとディアンドレ・ジョーダンの守るインサイドを攻め立てるべきだった。トレードでジャレット・アレンを手放したネッツのフロントコートは質も量も不足している。それにもかかわらずリバウンドの数では41-49とネッツが上回った。

またセカンドユニットが揃って不調だったのも痛い。ネッツはローテーションプレーヤーをごっそり失っているのだから、主力が休んでいる時間帯は圧倒したい。今シーズンに加入したボビー・ポーティス、DJ・オーガスティンにはそろそろチームにフィットしてもらいたいところだ。そしてチームディフェンスの精度もより高めていく必要がある。特にクラッチタイムのネッツは、ハーデンとデュラントが交互にアタックするのが明らかだったにもかかわらず、単純に1on1でかわされて失点を重ねた。

これはシーズンを通じて高めていかなければならない部分だ。バックスには、昨シーズンのプレーオフでヒートの3ポイントシュート攻勢に手も足も出ず、東5位のチームに1勝4敗の完敗を喫した苦い過去がある。

アデトクンボもそれは理解している。「みんなで一緒に戦い、試合から学んで成長していくしかない。一つ前のマブス戦ではすごく良いプレーをして勝つことができた。今日も出来は悪くなかったけど負けた。次のレイカーズ戦でも良いプレーをしたい。長いシーズンの中で正しい道を進み、成長していくのが大事なんだ。願わくば5月か6月には『これが自分たちのベストだ』と言えるバスケットボールをしていたい」

アデトクンボは開幕直前にバックスとの契約延長に合意した。ドリュー・ホリデーを獲得したことでチームに優勝できる戦力が整ったと見たのだろうが、下にいるチームの方が改革への勢いはあるもの。ネッツは昨シーズンとは全く別のチームとなり、東カンファレンスをかき乱す存在となった。バックスが東カンファレンスの盟主であり続けられるかどうか、ここからの1試合1試合が勝負となる。