下半身強化でシュートタッチが向上、34得点と大爆発
川崎ブレイブサンダースは、第3節の広島ドラゴンフライズ戦を連勝で終えた。2試合とも勝利の立役者となったのは大黒柱ニック・ファジーカスだ。初戦は第1クォーターだけでいきなり16得点を挙げる爆発でチームに勢いを与え、35点差の圧勝劇を導いた。さらに2試合目は、ジョーダン・ヒースがコンディション不良で欠場したこともあって36分11秒とほぼフル出場で34得点12リバウンド2スティールと試合を支配した。
17日の2試合目、川崎は前日のリベンジを期す広島のアグレッシブなプレーに受け身となり、第2クォーター残り5分で13点リードを許すなど苦戦を強いられるも、そこから盛り返して最終的には2点差で競り勝った
試合後、ファジーカスはこのように総括する。「試合序盤、広島が勢いのあるプレーを見せたことに対して後手になってしまった。それでも離されることなく、しっかりとついて行った結果、最後に自分たちが勢いに乗って勝ち切れました」
ただ、前日の圧勝劇から一転しての辛勝と、この2連戦で得た反省材料をこう語る。「大敗したチームは対策を練り、そこからやり返そうと強い気持ちを持って出だしのエナジーを上乗せしてきます。そこへの対応は自分たちが修正しないといけない部分で、相手がよりエナジーを出して向かってきても迎え撃つ。しっかりした試合運びをすることが大事になってきます」
ファジーカス個人でいうと、開幕節で苦しんでいたシュートタッチについてこの日の活躍が示すように本来の調子が戻ってきたと自信を見せ、そこは次の理由があった。
「開幕節の後、自分のシュートルーティーンを変えてしっかり練習を続けた結果が出ました。この4試合はシュートタッチが戻っていると思います。感覚が悪くてもシュートに対して自信をなくしたことはありません。しっかりと打ちきれば入ることは分かっていました。ただ、練習試合や開幕節では良い形でシュートを打っていましたが、短かったり、弾道が低かったりしました。それを踏まえて下半身を強化したことで、シュートが入るようになったと思います」
「ニックはまだ健在であることを示すことができた」
コロナ禍によるトレーニングの制限やいつもに比べて実戦が少ないまま開幕を迎えたことで、コンディションが万全でないまま開幕を迎えざるを得なかった。ただ、それも改善され「アルバルク東京戦は仕上がっていなかったのが、ここ数試合でコンディションが上がってきました」と好感触だ。
コンディションが戻ってきたこともあり、この試合のファジーカスはほぼフル出場でもガス欠になることもなく試合を乗り切った。そこには「36分は多いですけど、どこで力を出し、どこで抜けばいいのか配分は分かっています。36分は十分にプレーできます」とベテランらしい豊富な経験を生かした巧さがある。
そして同時に、現在35歳と大ベテランの域に達しているがまだまだ衰えはなく、エースとしてチームを牽引できるという確固たる自信がある。「今日、36分出場でこれだけのスタッツを記録できました。『ニックはもう35歳であまりできないだろう』と見ている人たちに、ニックはまだ健在であることを示すことができたと思います」
今の川崎にはヒース、パブロ・アギラール、マティアス・カルファニとインサイド陣の駒は揃っていて、日本人選手にも得点を取れる選手がたくさんいる。しかし、それでもここ一番で最も頼りになる川崎のキングはファジーカスだ。そのことへの強いプライドを示した今節の彼の活躍ぶりだった。
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