「嫉妬することもなく、ただ勝ちたい気持ちだけがあった」
昨夏にトレードでレイカーズに加入したアンソニー・デイビスは、来シーズンが契約最終年となる。2020-21シーズンはプレーヤーオプションで、2900万ドル(約31億円)の大きな契約だが、これを破棄すれば今オフにフリーエージェントになる。レイカーズは今オフに再契約を提示するはずで、レブロン・ジェームズを兄貴分と慕うデイビスもこれに応じると見られる。
しかし、将来が予見できないのがNBAだ。デイビスを獲得するために、レイカーズはヤングコアを解体し、ロンゾ・ボール、ブランドン・イングラム、ジョシュ・ハートの3人に加えて昨年のドラフト1巡目指名権3枠をペリカンズに譲り渡している。10年ぶりのNBA優勝は偉業だが、ここでデイビスに退団されては、球団にとって大ダメージだ。
しかもデイビスはこれまで、再契約について慎重な態度に終始している。入団会見の時点で再契約について問われると、「レイカーズに加わったのだから最高のシーズンにしたい。そのことだけを考えている。その先のことに考えが向くのは優勝パレードをした後になる」とだけ答えている。今年1月にはレイカーズから提示された4年1億4600万ドル(約160億円)のオファーを断ったとされる。そして優勝を決めた直後の会見でも、「何も考えていない。エージェントと話すよ」と語るに留まり、レイカーズファンを喜ばせる「残留する」の一言は出てこなかった。
だが、退団を後押しするすべての意見を総合しても、結局はデイビスはレイカーズに残ると思われる。レイカーズは彼との契約延長を何よりも優先しており、100%のリスペクトを込めたオファーを提示する用意がある。そして、レブロンとの関係性の良さがこれを後押しする。
レブロンは優勝会見の席で『相棒』デイビスとの関係を「上手く説明できないんだけど」と前置きしつつ、次のように語った。「相性が良いとか刺激をもらえるとか、表現の仕方はいろいろあるが、最初に思い付くのは『リスペクト』だし、僕らの間にはエゴがない。僕はAD(デイビス)に僕よりも優れた選手になってほしいし、彼もそう思っている。毎試合そうやってチャレンジしてきた」
去就については言葉を濁したデイビスも、レブロンとの関係については多くを語った。「互いにリスペクトしているし、真の友情がある。コート外でも仲が良くて、だいたい彼の家に僕が行くか、彼が僕の家に来るか。本当にそんな感じなんだ。お互いに嫉妬することもなく、ただ勝ちたい気持ちだけがあった。それを今夜やり遂げたんだ」
人間関係は時間の経過とそれぞれの立場の変化によって変わるものだ。かつてはカイリー・アービングが、レブロンからの一人立ちを希望してキャバリアーズを去った。いずれデイビスにも、理由はどうあれ同じ決断をする日が来るかもしれない。だが、まだレブロンから得られるものは多いし、レイカーズでの挑戦に刺激を感じられないこともないだろう。