新たなニックネームは『ホール・オブ・フェイマー』?
ネイスミス・メモリアル・バスケットボール・ホール・オブ・フェイムが発表した2016年度の殿堂入り選手の中で、身体の大きさと言い、現役時代のインパクトと言い、シャキール・オニールが残したものは規格外だった。
レイカーズ時代の3連覇(2000、01、02)を含め通算4度の優勝を誇り、オールスターにも15回選出。216センチ156キロ(現役時代)の巨体に似つかわしくない軽やかな動き、コミカルな性格で人気を博し、現役引退後の現在も『シャック』の愛称で多くのファンに愛されている。
ゴール下では無類の強さを誇り、特に3連覇を果たしたレイカーズ時代はインサイドでの『シャック・アタック』に対抗できる選手は皆無だった。マジック時代にはダンクの衝撃が強過ぎるがあまり、バックボードの支柱が折れてしまったことも(現在は衝撃を吸収する構造に改良されている)。
その得点力とは裏腹に、フリースロー成功率が低い典型的なビッグマンで、18年の現役生活で残した生涯成功率はわずか52.7%。相手のオフェンスのペースを落とす場合や、僅差の試合で点差を離されたくない場合、フリースロー成功率が低い選手に故意にファウルを仕掛ける『ハック戦術』がNBAファンの間で広く知られるようになったのは、レイカーズ時代に圧倒的な存在だったオニールに対戦相手が用いるようになってからで、同戦術を意味する『ハック・ア・シャック』という造語も生まれた。
稀代のエンターテイナー
ジョークも1流のオニールがダンスセンスにも優れていることは、意外にもあまり知られていない。現役最後のオールスター出場となった2009年のフェニックス大会では、見事なダンスを披露。選手入場のトリを務めたオニールは、白い仮面を被った人気ダンサー集団『Jabbawockeez』と共に仮面を着けた状態で入場すると、彼らと息の合ったコンビネーション・ダンスで会場を沸かせた。後日談によれば、入場直前に簡単な打ち合わせをしただけで、ほぼ即興だったという。
シャックの他にも『ディーゼル』、『ビッグ・アリストテレス』、『スーパーマン』、『ビッグイージー』、『ビッグダディー』、MBAを取得したことから『ドクター・シャック』(SNSのアカウントに使用)と様々なニックネームを持つオニールは、殿堂入りが決まった直後、式典が行なわれる今年の9月に新たなニックネームが欲しいかと聞かれると、「いや、単純にホール・オブ・フェイマー(殿堂入り選手)でいいよ」と答えている。
もっとも、シャックはコート上で我々を楽しませてくれた稀代のエンターテイナーだ。ひょっとすると受賞スピーチでのネタをすでに探し始めているかもしれない。