富樫勇樹

勝負強さを発揮した富樫、シーズンハイの35得点

大阪エヴェッサと千葉ジェッツの今シーズン初顔合わせ。12月14日の第1戦は大阪が今シーズンのベストパフォーマンスで84-69と快勝を収めたが、続く第2戦は2度の延長にもつれる激戦を千葉がモノにしている。

この第2戦、千葉はギャビン・エドワーズを休ませた。「ペースの部分が今シーズンの課題で、マイク(マイケル・パーカー)のコンディションが良くなってきたので、マイクのところでペースアップを図ろうとしました」と大野篤史ヘッドコーチはこの起用法を説明する。ただ、インサイドを託したジョシュ・ダンカンに早い段階でファウルがかさんだのは想定外。若いニック・メイヨのプレータイムが伸び、ここを狙われてショーン・オマラに前半には大量得点を許した。

それでも千葉は、34-41で迎えた後半に流れを呼び込む。大阪の攻撃のエントリーのところで激しいプレッシャーを掛けることでゴール下とそれ以外を分断。ジョシュ・ハレルソン、オマラ、アイラ・ブラウンは強力でも、連携を断ち切ることでインサイドでタフショットを打たせ、そこから次々と速攻を繰り出すことで、後半開始5分あまりで18-2のラン。一気に逆転した。

ここからは千葉が優勢に試合を進める。ファウルトラブルでダンカンがベンチに下がっている間、メイヨがタフに戦うことで前半のような連続得点は許さない。第4クォーター、10分間出場したオマラが無得点に終わった一方で、メイヨはスキルの高さを生かして6得点を挙げ、前半のリベンジを果たした。こうして勢いが出た千葉が、残り3分23秒で78-69と点差を広げて、勝利は決まったかに思われた。

だが、前日の勝利で勢いがあり、また今シーズン最多の6472人の観客の後押しを受けた大阪は屈しない。橋本拓哉の3ポイントシュートで勢いを取り戻し、アイラが決して得意ではないフリースローをねじ込んで追い上げる。伊藤達哉のアタックによるフリースローで同点とした後は、ダンカンとパーカーが立て続けにオフェンスリバウンドをもぎ取る千葉の分厚い攻めを耐えきって、80-80で試合は延長戦へと突入した。

ショーン・オマラ

オマラとメイヨのマッチアップが試合のカギに

エドワーズ不在の試合でダンカンがファウルトラブルという危機にメイヨの活躍があったことが、千葉が苦しい40分間で負けなかった要因。そして延長戦で勝ち切れたのは、富樫勇樹がエースの本領を発揮したからだ。「いろいろありすぎて、あんまり覚えてないです」と富樫は試合を振り返ったが、試合を通じて35得点。第4クォーターに7得点、さらには延長に入って11得点と、勝負どころでの得点能力の高さが光った。

大阪はダブル・オーバータイムまで食らい付いたものの、終盤は『メンタルのスタミナ』の課題が出た。2回目の延長が始まってすぐ、ハレルソンから橋本へのハンズオフで攻めようとした場面、千葉はパーカーと田口成浩のダブルチームでボール奪取に成功、速攻へと移る。ボールを奪われた橋本はすぐに体勢を立て直してパーカーを追うことで速攻を遅らせたのだが、ディフェンスに戻っていたのは彼一人。結局、イージーシュートのチャンスを与えてしまった。

その後もアイラのハッスル、畠山俊樹の1点差へと追い上げる3ポイントシュートなど大阪が食い下がったのだが、大接戦の中でイージーシュートのチャンスをいくつか与えたことが悔やまれる。残り1分を切って富樫にこの試合6本目となる3ポイントシュートを決められたのが決定打となり、105-106で試合終了となった。

伊藤達哉

奮闘した大阪「どんどん良くなっている」

千葉の大野ヘッドコーチは「ゲームの締め方、点差と時間の関係を考えてプレーしないと負ける可能性が出てしまう」と、本来は40分間で勝つべきゲームであったことを強調するも、「それでも勝てて良かったです」と、タフな戦いをしのいで連敗を避けられたことに安堵した様子。またチームのピンチを救ったメイヨについては「タフに戦うことを求めて、実際に戦ってくれた。まだまだ足りないところも多いですが、練習でもしっかりやっている」と、その働きを称えた。

大阪は惜しい試合を落としたが、開幕からここまで好調だったのは対戦相手に恵まれた面もあり、ここで千葉を相手にどれだけ戦えるかは、チームの成長ぶりを試す格好の機会だった。そこで1勝を挙げ、敗れた第2戦も最後まで食らい付いたことには意味がある。

天日謙作ヘッドコーチはこう語る。「開幕の秋田戦の時とは全く違うチームだというのが、見ている人にも分かると思います。今日たくさん使ったゾーンディフェンスは以前よりずっと良くなっているし、オフェンスでも個々の繋がりが出るようになってきています。ここまでできればチームはチャンピオンシップに行けると考えるようなタイプじゃないので、それは分かりませんが、どんどん良くなっているのがすべてです」

ただ、だからこそ連勝しておきたかったのも事実。それでも天日ヘッドコーチはクラッチシュートを連発した富樫への対応よりも、「パーカーに簡単に得点やリバウンドをやられたり、自分たちがレイアップを落としたり、そっちの方です」と課題を挙げる。

ここから年内はサンロッカーズ渋谷、京都ハンナリーズ、アルバルク東京と強敵とのゲームが続く。ここでどれだけのパフォーマンスを見せ、何勝を挙げられるか。大阪にとってはシーズンを左右すると言ってもいい重要な年末となる。

12月15日のB1 8試合の結果
SR渋谷79-92滋賀
島根80-59富山
秋田72-58名古屋D
横浜69-82A東京
京都58-78宇都宮
北海道69-84琉球
大阪105-106千葉
三遠65-83新潟

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