リングへアタックする意識が明確に出てリードを拡大
アジアカップ2戦目、日本代表はチャイニーズ・タイペイと対戦した。東アジア選手権では準決勝で73-78と敗れた相手だったが、昨日の試合では見違えるようなプレーで終始相手を圧倒。フリオ・ラマス新体制で公式戦初勝利を収めた。
日本の先発は富樫勇樹、田中大貴、古川孝敏、アイラ・ブラウン、太田敦也。
序盤はチャイニーズ・タイペイの強引なミドルシュートが高確率で決まり先行される。速攻を決められ、開始4分弱のところで5-10とリードを許し日本はタイムアウトを要請した。「オフェンスではストップ&シュートしか打っていない。もっとアグレッシブに」とラマスコーチから指示を受けると、ここから反撃を開始する。
古川の3ポイントシュートで追撃し、太田がインサイドで合わせシュートファウルを誘発した。残り3分33秒、太田のスティールから富樫がハーフラインでボールを拾うと、そのまま速攻に転じてバスケット・カウントを獲得。3点プレーで13-12と逆転した。
このまま日本は一気に勢いに乗る。リングへアタックする意識がどの選手にも明確に出て、シュートファウルを獲得してはフリースローで加点。古川が8得点を挙げるなど、22-17とリードして第1クォーターを終えた。
第2クォーターに入ると、日本の守備でチャイニーズ・タイペイを圧倒する。オーストラリア戦ではミスマッチを埋めるべくダブルチームを余儀なくされ、ノーマークを作られる場面が多々見られたが、身長のミスマッチがない相手に対し、日本は一人で守り切る。最後までプレッシャーをかけ、タフショットを打たせ続けた。オフェンスでは篠山竜青のゲームメークが光った。自ら積極的にゴールを狙い、フローターシュート、3ポイントシュートを沈め31-19と点差を2桁に広げる。
インサイドの攻防を制したことが圧勝劇のポイントに
日本の勢いはもう止まらない。これまでドライブからの合わせと、外のパス回しからのシュートが主だったが、そこに縦の変化を加えた。オーストラリア戦ではスクリーンがうまくかかっても相手の高さや腕の長さが気になり、思い切ったパスがなかなか出なかったが、ここも意識の変化でインサイドへ鋭いパスを何本も供給。これにチャイニーズ・タイペイは対応できず、完全に優位に立った。
残り4分にはゴール下に走りこむ馬場雄大と合わせ、アリウープを披露。その後も攻守でハイレベルな精度を見せた日本が、6分間で14-1と圧倒し、40-22と大きく突き放して前半を終えた。そして後半、日本は最初のポゼッションで比江島慎が3ポイントシュートを沈め、早くも点差を20点に乗せた。
ここまでリードを拡大できた要因としてインサイドの攻防を制したことが挙げられる。太田やアイラがインサイドからの失点を防ぎ、確実にディフェンスリバウンドを取ることで、速攻を展開するなどリズムを作った。オフェンスリバウンドも奪えたことで、セカンドチャンスポイントを重ねた。
比江島のドライブからインサイドで合わせ、ヘルプに来たところをコーナーで待つ田中大貴が外から射抜くなど、まさに理想的な攻撃を披露した。攻守がガッチリと噛み合った日本は、田中のブザービーターが決まり、 60-34と最終クォーターを待たずして勝利をほぼ決めた。
点差が離れた終盤も日本は集中力を切らすことなく、コートに出てくる選手はしっかりと役割をこなし続けた。竹内公輔が第4クォーターだけで10得点を挙げ、ここまで出番のなかった小野龍猛が3ポイントシュートを沈めて全員得点を記録。文句の付けようのない出来で、87-49と快勝した。
「汗をかいてくれた選手たちのディフェンスが勝因」
指揮官のラマスは勝因にディフェンスを挙げ、こう語っている。「今日のゲームは、40分間を通して努力し、汗をかいてくれた選手たちのディフェンスが勝因です。第2ピリオドは相手を5点に抑え、第3ピリオドは11点のうち8点がフリースローでした。相手には好きなようにバスケットをさせないディフェンスを求め、それを選手たちは遂行してくれました」
また「43-34とリバウンドでも上回ったとともに、特筆すべきは21本のアシストを成功させたことです。ボール回しが上手くでき、そこからシュートを決められる状況を作れたことで、良い試合をすることができました」と数字に表れ、5人全員でディフェンスを崩したオフェンスの内容にも満足感を得ていた。
8得点10リバウンドとインサイドの攻防を制する原動力となった太田は「この試合、全員でリバウンドは意識して臨んでおり、自分ではそんなに取ったような感じはしていませんでした。それでも、自分のマークマンにだけは取らせないように心がけていたことが、スコアとして10本になり、結果として良かったです」と語る。
日本は戦績を1勝1敗とし、Dグループ2位に浮上。明日は予選グループ最終戦となり香港と対戦する。