フィジカル合戦で競り負け、終盤に失速して連敗
宇都宮ブレックスにとっての『テリフィック12』はグループステージ敗退という結果に終わった。安齋竜三ヘッドコーチは、結果よりも内容について「疲れがあって身体がキツいのは分かっていましたが、動ける動けないよりもコミュニケーションを取ろうとする行為がなかったのが残念」と厳しい目を向ける。
初戦は韓国の、第2戦は中国のチームとの対戦。ハードワークをベースとしたバスケットでフィジカルでの勝負には自信があるはずの宇都宮が、その競り合いの部分でも苦戦した。
浙江ライオンズとの試合では前半を終えて11点リード。決勝トーナメント進出には11点差以上での勝利が必要で、順調にリードを広げているように見えたが、身体をぶつけて削り合う試合展開で先に根負けしたのは宇都宮で、激しく当たられてもファウルがコールされないことのストレスも重なって終盤に失速してしまった。
安齋ヘッドコーチはその差を痛感していた。「高さもスピードもあってフィジカルも強い。もともと持っているものもありますが、毎試合そこでやって慣れている部分もあると思います。日本でもそういう部分でベースを高くできるチームが増えていかないと、アジアの中での差は縮まっていかないと思います」
だが、それとは反対の意見を語ったのは比江島慎だ。誰よりも負けず嫌いな彼は「手の長さはありましたが、スキルに関しては別に相手が優れているとは思いませんでした。フィジカルの差は感じなかったというか、そこで負けたつもりはありません」と語る。
「言い訳になりますが、勝てる相手だった」
比江島に言わせれば『テリフィック12』での連敗は「どう考えても2試合とも勝ち試合で、相手に力負けしたわけじゃなく自分たちでミスをしてしまった」だ。自分を含めて、勝利への執着心がチームに欠けていたと反省する。「もちろん勝つつもりでしたけど、絶対に決勝に行くというよりは1試合1試合を大事にしようという感じでした。言い訳になりますが、勝てる相手だったし、自分たちがちゃんとやっていれば2試合とも勝っていたはずです」
「終盤になって相手が激しく来たところで僕らが対応できなかった。自分もターンオーバーをして相手に勢いを持って行かれたし、自滅です。開幕までにはしっかり連携を高めなければいけないんですけど、今の時点ではこういう結果になってしまいました」
第2クォーターで一度は相手を圧倒しているが、この時は比江島がポイントガードを務めた。第1戦でも時間は限られていたが、このラインナップで良い形を作っている。「フォーメーションから良いスクリーンが掛かったし、良いスペーシングができてアウトナンバーも作れました。それでもうまく行ったのはディフェンスから良い流れを作れたから」と比江島はこの時間帯を振り返る。
ただし、これはあくまで鵤誠司がケガで欠場したための緊急措置で、「やるとしてもケガ人が出た場合で、シーズン中にそんなにはやらないと思います。もっと練習を重ねていけば1番起用も行けますが、今日はちょっと余裕がありませんでした」とのこと。
「アタックする意識、思い切りの良さがなくなっている」
予定より早く『テリフィック12』は終わってしまい、チームは昨日帰国した。これから開幕に向けて最終調整に入るが、比江島はまだ前を向けずにいる。それはこの大会ではなくワールドカップの5戦全敗という結果を受けてのショックで、自分のプレーを見失っているからだ。
「ワールドカップが残念な結果に終わり、個人的にも苦い経験をしました。個人としてもチームとしても、それを踏まえて飛躍の1年にしたい、もう一つ上のレベルに行きたいと思います。今シーズンは最初から宇都宮に所属するのでチャンスの年になるので、また違った自分、成長した自分を出して、チームとしては優勝したいと思います」
そうは語るものの、「成長」や「優勝」という言葉を発することに違和感がある様子。「ただ、どうなんですかね。Bリーグでは圧倒したい、それぐらいやりたいと思っているんです。周りからそう期待してもらえたらうれしいですけど、今日のプレーに関しては全くダメだったし、今は自分のプレーを見失っています。それは皆さんも見ていたら分かると思いますが、いろいろ考えすぎてしまっているのは間違いなくて。アタックする意識、思い切りの良さがなくなっているのは自分でも分かっています」
「開幕までにはしっかりチームを作って、完成されたブレックスをお見せしたいです。今はちょっと言えないですけど、自分が優勝に導くという意識は持っていくつもりです」
ワールドカップを終えて、すぐにアーリーカップ、テリフィック12と厳しいスケジュールが続いたことは、身体よりもメンタルに影響しているのかもしれない。焦りはあるだろうが、ここで一息入れてリフレッシュすることも大事。宇都宮ブレックスは10月3日に新シーズンのオープニングゲームを横浜アリーナで戦う。比江島には、そこで思い切って攻めるプレーを見せてもらいたい。
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