岩屋頼

「岩屋選手が指名されていたら1巡は見送るつもりでした」

1月下旬に行われた『Bリーグドラフト2026』では合計で14名が指名された。今回から始まったドラフトを前に自分でチームを選びたい選手側、将来の主力候補を確保したいチーム側の意向が絡み、多くの若手有望株がプロ転向を果たしたことを考慮すれば、ユース特別指名権を除いた指名が11名に留まったのは想定内と言えるだろう。

多くのチームが指名を見送った中、最も積極的な動きを見せたのが秋田ノーザンハピネッツだった。1巡目全体5位で岩屋頼、3巡目全体9位で堀田尚秀を指名と、昨年度のインカレ準優勝を果たした早稲田大のガードコンビを獲得。複数の選手をドラフトで指名したのは秋田のみだ。

日本の大学を経由してドラフトエントリーをした選手には1巡目だと1,800万円、2巡目で1,400万円、3巡以降だと1,000万円の年俸を支払う必要がある。この金額はこれまでの新人に対して各チームが支払っていた年俸と比べると大幅な上昇となり、それが指名に及び腰になった大きな理由と考えられる。

そんな中でも秋田はドラフトで複数の選手を指名した。そこには岩屋、堀田に関する高い評価と共に、現在のリーグにおける選手年俸の相場観も影響している。秋田の取締役テクニカルディレクターを務める長谷川誠はまず岩屋と堀田についてこう評価する。

「岩屋選手に関しては1巡目で指名するなら彼と考えていました。もし、彼が先に指名されていたら1巡目は見送るつもりで横浜(ビーコルセアーズ)さん、長崎(ヴェルカ)さんが指名しなければいいなと思っていました。彼は今の我々が求めている得点力のあるポイントガードで、IQも高いです。そしてリバウンドも取ってくれるところも評価しています」

「堀田選手は身体の線が細いところはありますけど、シュートセンスは大学トップクラスです。シューターとして田口(成浩)選手がいますが、彼は今ケガをしていてシューターを補強したいところがありました。運良く2人を指名できたと思います」

このように長谷川取締役は、特に岩屋を即戦力と考えている。そして現在のポイントガード市場の相場観について、セカンドガードでも計算できる選手を獲得するなら2000万円くらいは必要とし、「それならば岩屋選手の方が将来性はありますし、ウチに足りないポジションなので最初から狙っていました」と、1800万円という年俸が高過ぎるとは見ていない。

堀田尚秀

「堀田選手は日本トップレベルのシューターに」

現在、秋田は今年のインカレで白鷗大の日本一に貢献した内藤晴樹、小川瑛次郎が特別指定選手としてプレーしている。2人は共に秋田U15チーム出身でチームとの結びつきが強いが、ドラフトの導入によって2人を共に獲得できるかは抽選という完全な運任せになってしまった。

長谷川取締役は、ドラフトによるメリット、デメリットをこう捉えている。「自由競争だと、結局はお金があるところが勝ってしまいがちです。それにプラスしてすごい施設が整っていたり、アリーナが大きかったりするチームを選手が選ぶケースは多いです。ウチのような田舎のチームにとってドラフトはいいのかなという思いもありますが、デメリットとして地元選手が獲れない状況はおそらく出てきます」

いろいろな思いがある中でも、与えられた状況でベストを尽くす。この一番やるべきことにフォーカスした結果、秋田は初めてのBリーグドラフトで積極補強を行った。「来年に(狙った選手を)獲れる保証もないですし、今回は満足しています。2年後には新アリーナが完成する予定ですし、それまでにしっかりと集客力の部分も含めて、チーム力を高めていきたいです」

こう語る長谷川取締役は、新時代の秋田を担う存在として2人への期待を語る。「岩屋選手は日本代表になれるくらいの素質を持っています。堀田選手は『堀田がコートに入ったら3ポイントシュートを決めるよ』と言われるような日本トップレベルのシューターになってほしいです」

ちなみに他のドラフト指名組の中には、特別指定選手契約を結びBリーグデビューを果たした選手も出ている。ただ、今の秋田は特別指定を内藤、小川に使っているため、長谷川取締役は「彼ら(内藤と小川)が3月までチームに帯同することは決まっています。岩屋選手と堀田選手の育成方針について、現場のコーチ陣の判断に任せたいと思います」と語るに留めている。

岩屋、堀田が秋田のユニフォームを着て今シーズン中にコートに立つかどうかは不透明だ。ただ一つ言えるのは、共に秋田の未来を担い、新アリーナを沸かせる選手として大きな期待をかけられていること。今年のドラフトで攻めの指名を行った秋田の選択が、どんな影響をもたらすのか興味深い。