攻守に渡る活躍も「試合前は腰にフォーカスしていた(笑)」
週末に同クラブと連戦するBリーグのスケジュール上、ゲーム1の課題をゲーム2でどのように修正するかは、チームを成長させるために重要なことだ。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、2月8日に行われたサンロッカーズ渋谷とのゲーム2で、見事に前日の課題に答えを出して、84-59の完勝を収めた。
ゲーム1も72-62で勝利したものの、第1クォーターは17-20とビハインドを背負い、序盤のディフェンス強度の改善が必要だった。前日、先発を務めた今村佳太とカイル・リチャードソンに代わり、ゲーム2ではアイザイア・マーフィーと張本天傑が先発出場。結果的に第1クォーターで23-10と大量リードを築いたことが勝利に繋がった。
試合後、名古屋Dのショーン・デニスヘッドコーチは、起用の意図と評価を次のように話した。「相手がハードにやってくると予想できたので、ディフェンスのトーンセットのためにスターディングを変えました。先発の選手がゲームを決めてくれましたが、佳太とカイルもベンチから出てきて、しっかりディフェンスしてくれました」
今シーズン初めての先発起用となった張本は「先発は試合前のミーティングで聞かされました。思っていた以上に平常心でした」と、試合前の様子を明かす。キャリアも長く、日本代表でもプレー経験のある張本にとって、突然の先発起用も「いつも通り」だったが、コンディションは万全ではなかったという。「昨日今日と腰が痛くて。ウォーミングアップで走ったら『今日ちょっと無理かなぁ』と。試合前は腰にフォーカスしていたので、試合のことはあまり考えていませんでした(笑)。薬を飲んで身体が温まったら動けました。試合が始まったら、腰よりも試合に集中できたので良かったです」
SR渋谷はドンテ・グランタムにジョシュ・ホーキンソン、トーマス・ウェルシュとビッグラインナップでスタートしたため、張本は屈強なビッグマンとのマッチアップを求められた。SR渋谷は試合開始から、張本がマッチアップするホーキンソンにボールを預けた。
「ファーストプレーから、ホーキンソン選手のポストアップで狙ってきていましたが、ターンオーバーしてくれたので、良い出だしになりました。その後も狙われましたが、守れましたね。僕も含めて全員が試合の入りからトーンセットをしっかりするという仕事を与えられたので、全員でフォーカスできました」と張本は胸を張る。
張本の見せ場は、ディフェンスだけではない。第1クォーターから2本の3ポイントシュートを沈めると、第3クォーターには3ポイントシュートのフェイクからレイアップ、続けて3ポイントシュートと連続得点で会場を湧かした。今シーズン最長となる17分14秒プレーし、いずれもシーズンハイとなる11得点4リバウンドを挙げ、完勝の立役者となった。
「こんなに自分が空いちゃうんだと思いながらやっていました。ウチの外国籍選手は、ピックからポップするタイプではないので、僕がポップして打ててよかったです。ダイブが多いチームなので、SR渋谷さんはポップの対策をしてこなかったのか。思ったよりうまくいきましたね」

「地区優勝に向けて大事なのは取りこぼしをしないこと」
今節は張本にとっても、チームにとってもうれしいことがあった。昨シーズン終盤に右膝前十字靭帯損傷を負い、欠場が続いていた佐藤卓磨の復帰だ。同じケガを負い長期離脱の経験がある張本にとって、佐藤の復帰は人ごとではなかった。
「彼はケガをしてもすごく頑張っていました。僕自身も長い期間リハビリを続ける経験をしているので、彼の気持ちはよく分かります。リーダーシップも取れる選手なので、彼がベンチにいること自体に価値があります」
「僕は前十字靭帯をケガした選手みんなを『ブロー(brotherの意)』と呼んでいるんですが、最近ブローが増えてきて困っています。彼から相談をよく受けていましたし、復帰するにあたり1対1とか対人練習は付き合っていました。僕が復帰する時も菊池真人さん(昨シーズンまで名古屋D所属)にずっと付き合ってもらっていたので」
佐藤の復帰でさらに士気が高まっている名古屋Dは、地区首位の長崎ヴェルカとのゲーム差を2に縮めた。地区優勝も十分に目指せる状況で、張本は良い流れを継続していきたいと意気込む。「地区優勝に向けて大事なのは、取りこぼしをしないこと。せっかく上位チームに勝てても、他で取りこぼしてしまうのが僕たちの良くないところなので、それをなくしていきたいです。今の強いドルフィンズを保ちつつ、さらに成長していけるかが重要です」
34歳でベテランと言われるキャリアになってきたが、まだまだチームの主力として活躍できることを証明した。選手層の厚い名古屋Dにおいて、メンターではなく第一線のプレーヤーとして輝く張本の存在が優勝の鍵を握る。
