「コーチが僕に求めるのはフィジカルなディフェンス」
スパーズとのNBAカップ決勝、右肩捻挫のランドリー・シャメットに続きマイルズ・マクブライトも足首のケガで欠場し、ジェイレン・ブランソンの控えガードはタイラー・コレックだけとなった。コレックは昨年の2巡目34位指名を受け、ドラフト当日にトレイルブレイザーズからニックスに移籍した選手。ニックスとは4年契約を結んだが、1年目は何度かGリーグに送られ、41試合に出場したものの大きな存在感を発揮することはなかった。
それでも2年目の今年はプレータイムこそ限られるものの、ブランソンを休ませる時間帯をハードワークで繋ぐ控えガードとして少しずつ出番を増やした。主力にプレータイムの偏るトム・シボドーからマイク・ブラウンへの指揮官交代がそのきっかけだった。
NBAカップ決勝でのコレックは攻守に素晴らしいエナジーを発揮。ビクター・ウェンバニャマの手前から3ポイントシュートを決め、ハリソン・バーンズのドライブを粘り強いディフェンスで止め、リムアタックでウェンビーを引き付けてアヌノビーのコーナースリーをアシストし、リバウンド争いのこぼれ球をティップして味方に繋ぐ。
コレックのハッスルは攻守のありとあらゆる局面で発揮され、結果としてブラウンは第4クォーターに彼をブランソンと同時起用し、試合を託す決断を下した。
第4クォーター開始時点でのラインナップはブランソンとコレック、ジョーダン・クラークソン、OG・アヌノビー、ミッチェル・ロビンソン。それから1分半でロビンソンが5つのオフェンスリバウンドを奪取し、それは彼自身のタップダンクとクラークソンの連続3ポイントシュートに繋がり、5点ビハインドから一気に逆転。指揮官ブラウンは「私は迷わなかったよ。『こいつらが試合を盛り上げたんだから、このメンバーで最後まで行こう』とすぐに決めた」と語る。
コレックは残り4分でジョシュ・ハートと交代したが、1分30秒後に再び投入され、最後までプレーした。NBAカップ決勝は公式記録に残らないが、20分出場と14得点は彼にとっていずれもキャリアハイの数字。さらには5リバウンド5アシストも記録し、チーム一丸でのタイトル獲得に彼も大きな貢献を果たした。
試合後に出演した『NBA on Prime』でコレックは「僕は投入されるたびに、タフネスのレベルを引き上げたいと思ってコートに入る。僕のエネルギーで試合を変えたいんだ」と語る。
準決勝のマジック戦でもコレックは18分のプレーで得失点差+18を記録していた。スタッツは残さなくてもチームに貢献できる。これがコレックのブレイクに繋がった。「試合で何が起きるかは分からないけど、安定して発揮できる要素はいくつかある。激しさと勤勉さ、ディフェンスを一定のレベルに保てば、他もついてくる」
試合後、MVPに選ばれたブランソンはコレックの名前を挙げて「彼らがいなかったら僕はMVPのトロフィーを手にしていないし、チームも優勝していなかった」と語っている。
コレックもまた、同じポジションでNBA屈指の実力者であるブランソンをリスペクトし、一緒にプレーできることを喜んでいる。「あのサイズであれだけ得点できるのは本当に驚異的だよ。彼は素晴らしいチームメートであり、素晴らしいリーダーだ。学ぶべき最高のお手本なんだ」
「この数試合はプレータイムが伸びていて、しかもジェイレンと一緒にプレーするのは、これまでにない機会だ。だからこそ、コーチが僕に求めるのはフィジカルなディフェンスであることを忘れず、彼と一緒に効率の良いプレーをすることを心掛けた。第4クォーターのクロージングラインナップに入れたのは、そのおかげだと思う」
