レギュラーシーズン1位の千葉と2位の栃木が激突
今週末、Bリーグ王者を決めるチャンピオンシップのセミファイナル2試合が開催される。
過去最高勝率でレギュラーシーズンを制した千葉ジェッツと、連敗を喫することなくリーグ2位でチャンピオンシップ進出を決めた栃木ブレックスの一戦は、『事実上の決勝戦』とも言われる屈指の好カードだ。
レギュラーシーズンでの戦績は3勝3敗と五分。天皇杯を含めれば千葉が4勝3敗と勝ち越してはいるが、その決勝戦も富樫勇樹の逆転3ポイントシュートで勝利と、その実力は拮抗している。
またチームスタイルも、ディフェンスから走る『堅守速攻』を強みにしており、スタッツを比較しても、以下のように酷似している。※()内はリーグ順位
得点 失点 アシスト ブロック
千葉 85.8(1) 71.3(4)22.1(1)3.1(2)
栃木 81.2(3) 70.9(3)21.6(3)3.2(1)
では、何が勝利を分けるポイントとなるのか。数字の面で大きく差が表れたのは、フィールドゴール成功率とオフェンスリバウンドだ。
フィールドゴールの成功率は選手個人のシュート精度ももちろん関係してくるが、どれだけイージーシュートの機会をチームとして作るかが大事になる。栃木の45.6%(8位)に対し、千葉は49.9%(1位)と、実に2本に1本のシュートを得点に結びつけている。千葉はスピードスターの富樫を起点に、対戦チームが「分かっていても止められない」と評する速攻での得点機会が多いため、このようにシュート成功率が上がり、オフェンス面では千葉に分があるように思える。
だが栃木は、このフィールドゴール成功率の差を、リーグ最強のオフェンスリバウンド力で補っている。オフェンスリバウンドを奪取すればするほど、オフェンスの時間は長くなり、相手に与えるストレスは増える。また、千葉の武器である速攻も、ディフェンスリバウンドを確保しないことには始まらない。ともにボールプッシュができ、速攻のフィニッシャーになれる脚力を兼ね備えているインサイド陣を擁するため、リバウンドは間違いなく勝負を分ける一つのポイントとなるはずだ。
セカンドユニットのパフォーマンスに注目
両チームともにベンチメンバーが充実しているため、セカンドユニットの出来も勝敗を分ける大きなポイントとなる。ポストシーズンには、実力上位の主力メンバーのプレータイムが伸びるものだが、これだけチーム力が拮抗していると、激戦の末に終盤まで試合が決まらないことも考えられる。また、今シーズンからGAME3は別日開催となり、3日で3試合を戦う準備が必要だ。強度の高いディフェンスを40分間、3試合連続で遂行するには、タイムシェアが必要不可欠となる。
栃木は田臥勇太と喜多川修平がシーズン終盤に復帰を果たした。ベテランの2人が持つ経験値はポストシーズンでより貴重となり、単純に計算ができるメンバーの頭数が増えたことを考えても大きい。
さらには、個で打開することにかけては日本屈指の実力を持つ比江島慎の存在は、言わずもがな栃木のストロングポイントとなる。ローテーションする人数が多い分、セカンドユニットでは栃木が有利かもしれない。
一方の千葉も総じてセカンドユニットのレベルは高いが、富山グラウジーズとのクォーターファイナルでは富樫のバックアップを務める西村文男に足を気にする仕草が見られ、約9分の出場に留まったことで状態が懸念される。またキャプテンの小野龍猛がケガから復帰した後に調子が上がらず、富山戦でも出場がなかったのは気掛かり。それでも、得意のポストプレーやチームに落ち着きを与えらえる小野の出番は、この重要な一戦でやってくるかもしれない。特に対栃木の場合、3番ポジションでミスマッチが生まれやすく、小野がそこでアドバンテージをもたらすことができれば、千葉のセカンドユニットはより強力となる。
数字やそれぞれのストロングポイントを比較すればするほど、互いの力が拮抗していることが分かる。そして、これらは机上の空論に過ぎない。本番では、一つのポゼッションや一つのルーズボールへの執念で上回ったほうがファイナルへ進むのではないだろうか。
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