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完成したばかりの『ツインタワー』は攻守に機能せず

NBAはオールスターの中断期間が明けて、この日からレギュラーシーズン再開。40勝18敗で西カンファレンス3位のロケッツと23勝34敗で同じ西カンファレンス11位のペリカンズが対戦した。

デマーカス・カズンズとアンソニー・デービスの『ツインタワー』のお披露目で注目を集めたペリカンズだが、攻守ともに連携不足を露呈。ジェームズ・ハーデンを擁するロケッツに惨敗を喫した。

初めてボールがカズンズに渡ると、ホームの観客からは歓声が上がった。ネネのファウルを誘い、ドリュー・ホリデーとのピック&ロールからミドルシュートを決めるとさらに大きな歓声が上がる。そんな観客の後押しもあり、序盤はペリカンズが善戦を見せた。

ところが、28-30と2点のビハインドで迎えた第2クォーター、ペリカンズは不用意なパスをカットされ、選手間の呼吸が合わずボールをファンブルするなど、ターンオーバーが続いてリズムを崩していく。

前半で3個目のファウルを犯しベンチに下がったカズンズを筆頭に、ペリカンズは軽率なファウルが多く、フリースローで失点を重ねた。第2クォーター終盤にはロケッツの3ポイントシュート攻勢を浴び、14点のビハインドを背負って前半を終えた。

ハーデンは13得点14アシストと周りを生かしつつ、自らも要所で得点を決めた。第3クォーターの時点で100点を奪う超ハイペースなオフェンスの指揮をとった。

ハーデンを中心のオフェンスが『質の違い』を見せ付ける

後半に入ってもペリカンズは攻守ともに噛み合わない。デービスがドリブルで仕掛ける先でカズンズが待ってしまい、ドライブを止めるシーンが複数回みられた。オフェンスはデービスとカズンズの1on1ばかり。いくら個が強力でも、単調かつ単発では流れはつかめない。

ディフェンスでも簡単な1枚のスクリーンから3ポイントシュートを決められたり、ジェームズ・ハーデンが繰り出すピック&ロールの餌食となりリードを広げられてしまう。特にデービスとカズンズのローテーションがうまくいかずに何度もノーマークを作ってはシュートを決められ、トランジションオフェンスを止められず守備は崩壊した。

17-34とダブルスコアで圧倒された第3クォーターを終えて67-100。この時点で勝敗は決した。第4クォーター、ハーデンを全休させたロケッツに対し、ペリカンズはカズンズを起用し続けるも焼け石に水で、99-129で惨敗した。

ロケッツはハーデンが13得点14アシストのダブル・ダブルを記録。レイカーズから移籍したルイス・ウィリアムズが25分の出場で27得点と躍動した。

敗れたペリカンズはデービスがゲームハイの29得点9リバウンドを記録。カズンズが27得点14リバウンド5アシスト5スティール5ブロック。スタッツだけを見ればすさまじい数字ではあるが、デービスとカズンズの他に2桁得点を挙げたのは同じく新加入のオムリ・カスピのみ。そのカスピはこの試合で右手の親指を骨折、シーズン中に戻って来られるかどうか難しい状況となっている。ちなみにロケッツは6人が2桁得点を記録。チームオフェンスの質の違いは明らかだった。

「個」は強力だが「チーム力」の前に敗北したペリカンズ。カズンズはキングスの時の二の舞にならないよう注意が必要だ。

「やらなければいけないことは多いし、一晩では無理だ」

ペリカンズのポイントガードを務めるホリデーは平均16.3得点7.5アシストとオフェンスを牽引してきたが、今日の試合では明らかにプレーに迷いが見え、6得点4アシスト7ターンオーバーと特に精彩を欠いた。

カズンズは新天地でのデビューについて「ようやくバスケットボールに戻って来れたのは良いこと。多くの期待を寄せられていることは分かっているよ」と、移籍の騒動に振り回された日々が終わったことをまずは歓迎した。

ただ、大敗という結果については「みんな正しいプレーをやろうとしているんだけど、まだお互いに連携が取れていないのは明らかだった」と語る。「デービスもホリデーも自分もボールを持てばたくさんのことができる。ただ、やらなければいけないことは多いし、一晩では無理だ」

カズンズの加入で完成した『ツインタワー』に誰もが期待したが、スコアも内容も散々な大敗を喫し、ペリカンズにとってはほろ苦い再出発となった。だが、ケビン・デュラントを獲得したウォリアーズも開幕戦ではスパーズに大敗を喫しているが、現在は西カンファレンスの首位に立っている。

西カンファレンス8位に食い込むことを考えると、ロケッツなどの上位チームに負けることは、ある意味『想定内』。逆に、次戦のマーベリックス(西12位)との対戦では絶対に負けられない。ケミストリーの構築は容易ではないが、ライバルとの対戦で勝ちを拾いつつ、チーム力を高めていくことが求められる。