残り1秒で同点に追いつく劇的な逆転勝利
ウインターカップ女子2回戦、大阪桐蔭vs土浦日本大学は激戦となった。
エースの片山朋子が前半だけで21得点10リバウンドを記録し、インサイドでアドバンテージを握った大阪桐蔭のペースで試合は進んだ。第4クォーター残り5分、片山が自身のパスカットから速攻に転じ、シュートファウルを誘発。フリースローを2本とも沈めて65-52とした。
劣勢に立たされたが、土浦日大のエース岡﨑真依が流れを変える。直後のオフェンスでセットプレーから3点プレーとなる力強いバスケット・カウントを誘発すると、インサイドへアシストパスを連発し、追い上げムードを作る。残り2分、2点差に迫る3ポイントシュートを沈めると、残り1分20秒には速攻からバスケット・カウントを獲得し、ボーナススローも決めてついに逆転した。その後、再逆転を許したが、1on1から相手の注意を引き付けた岡﨑が、檜山凛々華のゴール下をアシストし、残り1秒で同点に追いついた。その後、土壇場で延長に持ち込んだ土浦日大の勢いが上回り、最終スコア84-78で勝利した。
岡﨑はこのように試合を振り返る。「相手の流れで苦しい時間帯もあったんですけど、40分間を通して、自分たちのやるべきことや泥臭いことを最後までやったから、延長に持ち込めてその勢いのまま勝てました」
終盤はほとんどの時間帯で岡﨑がハンドラーを務め、ともにチームハイとなる35得点4アシストを記録した。岡﨑は決してスピードが速いわけではないが、高いバスケIQと冷静な状況判断力で試合を支配した。そして、「自分が攻めることによって相手が寄り、味方が空いてるのが見えてくるようになりました。ピックのズレを見て、ドライブなのか合わせのパスなのか。それを判断するのが強みです」と言うように、自身の武器を理解している。
そんな岡﨑に、最近『笑顔』という新たな武器が加わった。得点を決めても淡々とプレーする様子から「スカしている」と言われることがあったという。自身は「落ち着いてプレーしているだけ」と自覚はなかったようだが、チームをさらに良くするために意識的に笑顔を増やしたという。「キャプテンとしてやるべきことはコートで声を出してチームを鼓舞すること。『真依ちゃんが笑顔だとみんなも笑顔になる』と仲間から言われました。周りの雰囲気が良くなるかなと思って、笑顔は最近覚えた武器です」
追いかける展開がずっと続き、第4クォーター残り1分強に逆転のバスケット・カウントを決めたシーンで、この日一番の笑顔が岡﨑からこぼれた。そして、チームメートも笑顔で岡﨑に駆け寄り、ここから逆転劇がスタートした。
3回戦の相手は明星学園を100点ゲームで下した千葉経済大学付属。「関東ブロックリーグで負けているのでリベンジしたいと思います」。そう誓う岡﨑の笑顔が消えない限り、土浦日大の躍進は止まらないはずだ。