「一人がボールを独占しているやり方では無理」
今シーズン前半戦の主役は、昨シーズンのMVPを受賞したジェームズ・ハーデンだろう。開幕ダッシュに失敗したチームを文字通り一人で救い、孤軍奮闘を続けている彼は、26試合続けて30得点超えを達成した。
2016年に現役を引退したコービー・ブライアントは、ハーデンへの依存度が高過ぎるロケッツのスタイルに警鐘を鳴らす一人だ。『ESPN』とのインタビューに応じたコービーは、ロケッツの手法について「あのスタイルでは優勝できない」と断言。そして「ただ、持ちこたえて、チームを勝たせ続けることも重要で、彼はそれをやっているんだ」と、続けた。
そして、今のやり方ではロケッツの優勝は難しいかを改めて聞かれたコービーは、こう答えた。
「今のスタイルでは勝てないだろうね。一人がボールを独占しているやり方では無理。クリス・ポールが復帰したので、これまでよりもムーブメントが生まれて、オフェンスで選手が動くようにはなる。ただ、たった一人がトップ・オブ・ザ・キー、もしくはウィングで待機する形を取ったら、相手は簡単に守れる。特にプレーオフではディフェンスが鍵になるからね。もちろん、彼(ハーデン)のプレーはもの凄いけれどね」
コービーがこう言うのには、理由がある。2005-06シーズン、彼はリーグベストの平均35.4得点を記録しキャリア初の得点王に輝いた。ただ、西カンファレンス7位でプレーオフに進出したレイカーズは、プレーオフ・ファーストラウンドでサンズに敗れたのだ。
一人でチームを牽引することもそうだが、今の驚異的なペースが春まで続くとも考えにくい。最悪の場合、プレーオフを疲労困憊の状態で迎えてしまうケースも考えられる。だがハーデンは、シーズン終盤にガス欠に陥るとは考えていなく、「以前より得点を決めているから疲れるって?そんなことはないよ」と答えている。
「僕はバスケットボールが大好きなだけ。疲れは気にしていない。自分はバスケットボールをプレーするだけ。他のことは心配していない」
アンストッパブルなハーデンを抑えようと、対戦相手もあらゆる対策を講じ始めた。ダブルチーム、トリプルチームだけでなく、よりハーデンの体力を奪おうとするやり方を取るチームもある。指揮官のマイク・ダントーニは「彼は、あらゆる守備を打開できる。もしかすると、普段より苦労することもあるかもしれないが、どんなやり方をしても無駄」とコメント。ハーデンも「見てもらったら分かるけれど、状態は以前より良いね」と話すなど、蓄積疲労を懸念する声を意に介していない。
ポールに続いて、センターのクリント・カペラも負傷から戻れば、ロケッツのチームバランスは改善される。シーズン途中に加入したオースティン・リバースとケネス・ファリードもチームスタイルにフィットしているため、ケミストリーもこれから仕上がっていくだろう。
コービーの意見が正しいかどうかは、プレーオフで明らかになる。