ジェームズ・ハーデン

写真=Getty Images

現代NBAはタレントの宝庫

2018年のクリスマスゲームも終わり、年内の試合も残すところあとわずか。NBAのシーズンは2019年春まで続く長丁場だが、2018-19シーズンは、開幕から異例とも言えるほどハイスコアリングを記録している選手が続出している。

レギュラーシーズン開幕から現在までに、1試合50得点以上を記録した選手は8名(ケビン・デュラント、ブレイク・グリフィン、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、デリック・ローズ、ケンバ・ウォーカー、レブロン・ジェームズ、ジェームズ・ハーデン)にのぼる
。『NBA』によれば、シーズン開幕から12月までに50得点超えを果たした選手は、これまで最高でも4人しかいなかった。今シーズンはその2倍の8選手がすでに50得点超えを果たしているが、それは単なる偶然なのだろうか?

1979年に3ポイントラインが導入されて以降、NBAでは傑出したアウトサイドシューターが現れ始めた。現代のNBAを制するには、2連覇中の王者ウォリアーズを見ても分かる通り、3ポイントシュートが欠かせない。昨シーズンの最多勝チームであるロケッツもロングシュートを武器にしているチームで、12月19日のウィザーズ戦では、NBA新記録となる1試合26本の3ポイントシュートを成功させたばかり。このように、3ポイントシュートがリーグ全体のトレンドとなり、且つ難易度の高い3ポイントシュートを高確率で決められる技術を持つ選手が増加していることも、50得点超えをマークする選手の数が増えている一つの要因と考えられる。現に、上記の8選手全員が、今シーズン50得点以上を記録した試合で4本以上の3ポイントシュートを決めている。カリー(11本)とトンプソン(NBA新記録の14本)の成功数は異例だとしても、3ポイントシュートの技術向上により、これだけ多くの選手が、NBA選手にとってのステータスである50得点超えを達成している。

これまでは、50得点超えは一握りの選手に与えられた特権だった。NBA史にその名を刻んだレジェンドで、5回以上50得点超えを果たしたのは、ウィルト・チェンバレン(118回)、マイケル・ジョーダン(31回)、コービー・ブライアント(25回)、エルジン・ベイラー(17回)、リック・バリー(14回)、アレン・アイバーソン(11回)、カリーム・アブドゥル・ジャバー(10回)、バーナード・キング(8回)、ドミニク・ウィルキンス(7回)、ピート・マラビッチ(6回)、エイドリアン・ダントリー(6回)、ボブ・ペティット(6回)、ジェリー・ウェスト(5回)、ジョージ・ガービン(5回)。現役選手ではレブロン(12回)、ハーデン(11回)、デュラント(6回)、カリー(6回)、ラッセル・ウェストブルック (5回)のみだ。

またウォリアーズは、1962年のレイカーズ(ジェリー・ウェスト、エルジン・ベイラー、ルディー・ラルッソ)以来となる、1シーズンに3選手が50得点超えを果たすという快挙を成し遂げた。

上記の選手以外にも、アンソニー・デイビス、ヤニス・アデトクンボ、デイミアン・リラード、ウェストブルック 、ポール・ジョージ、カイリー・アービングらにも、今シーズン50得点超えの可能性は十分にある。審判の判定基準、プレースタイルの違いによる影響など、昔からNBAを見ている往年のファンならば言いたいことは山ほどあるかもしれないが、これだけの数の優秀なタレントが揃っている現代のNBAは、黄金時代に突入したと言っても過言ではない。