「僕は1番から5番までどんな選手もマークできる。それが僕の価値」
レイカーズは敵地でマーベリックスと対戦。第2クォーター途中に最大27点のビハインドを背負ったが、そこから巻き返して111-108の逆転勝利を挙げた。アンソニー・デイビスが30得点、レブロン・ジェームズが26得点と活躍。第4クォーター開始早々にレブロンの3ポイントシュートで追い付いた後はマブスも粘りを見せ、常に1ポゼッション差でリードチェンジを繰り返す大接戦となったが、第4クォーターにレブロンが11得点、デイビスが8得点と、取るべき選手が得点を重ね、マブスを振り切っている。
レイカーズを率いるダービン・ハムは、27点ビハインドの場面を振り返り「みんなイライラしてはいたが、負けを受け入れる者の表情ではなかった。互いに励まし合い、戦い続ける気持ちが見られた」と言う。マブスの指揮官ジェイソン・キッドは「今日のレイカーズは、ウサギではなくカメが勝つことを示した。そういう試合の取り組み方をしていた。我々はその点を見習わなければならない」と語る。
NBAオールスター期間中にレブロンは、レイカーズでの戦いについて「残るレギュラーシーズンは、僕のキャリアの中で最も重要な23試合になる」と話し、プレーオフ進出に強い意欲を見せた。再開初戦となったウォリアーズ戦でのレブロンは今シーズンワーストの13得点で、速攻でのレイアップを落としたり、プットバックを失敗したりと絶不調。デイビスも12得点と振るわなかった。それでもレイカーズが勝てたのは、ベンチメンバーを含め全員で粘り強い戦いができたからで、レブロンとデイビスが驚異的なパフォーマンスを発揮する以外に勝つ方法がなかった前半戦とは別のチームになっている。
かと思えばマブス戦のように、レブロンとデイビスが実力を発揮できれば、立ち上がりで大きくつまずいても挽回できる。トレードデッドラインでのチーム再編を経て、どの選手も口を揃えるのは「チームの雰囲気がものすごく良い」で、リーグ再開後に連勝と結果が出たことで、レイカーズの勢いはさらに増しそうだ。
この試合、オフェンスの主役はレブロンとデイビスで、勝負どころでの2人のツーメンゲームは破壊力抜群だった。一方のディフェンスで最もインパクトを残したのはジャレッド・バンダービルトだ。第1クォーターに14得点を挙げてマブスを勢いに乗せたルカ・ドンチッチを、その後は彼が抑えるように。ウイングを守る高さもガードを守る俊敏さも備えるディフェンスのスペシャリストとしての持ち味を発揮し、第2クォーター以降のドンチッチをフィールドゴール14本中5本成功の12得点と封じ込み、逆転劇の舞台を整えた。
試合後のバンダービルトは「ただインテンシティを上げて、試合の流れを変えようとした」と言い、ドンチッチをどう守ったかをこう説明した。「自分のリズムで気持ち良くプレーさせたら止めるのは不可能だ。だからそれを崩していく。相手の懐に入ってコートの隅から隅までドリブルするように仕向け、時間を使わせる。それを続けていれば疲れるのは分かっていた。後半はファウルせずに上手くやれたと思う」
「今日のチャレンジはすごく楽しかった。僕は1番から5番までどんな選手もマークできる。それが僕の価値であり、それでチームに貢献したい」
今のレイカーズの明るい雰囲気は、レブロンとデイビスだけでなくチーム全体で戦っていることから生まれている。それはバンダービルトに限ったことではない。オースティン・リーブスはチームの変化について「新しいエネルギーだ。新加入の選手それぞれが今までのチームになかった何かをもたらしている」と言う。
八村塁はその良い流れから取り残されているようで、マブス戦では11分の出場で2得点2リバウンドとインパクトを残せなかった。チームが攻勢に転じた第3クォーターは3分半しかプレーしておらず、息詰まる接戦となった第4クォーターには出番がなかった。加入直後は先発で起用されたが、後から移籍して来たバンダービルトにポジションを奪われている。
ただ、今のレイカーズにとってはレブロンやデイビスでさえ個人の出来よりチームの勝敗を優先する状況にある。八村はチーム内競争に意識を向けるのではなく、レブロンとデイビスが不調だったウォリアーズ戦で14得点とチームに足りていない得点力を補ったように、出番が来た時に自分のどんなプレーがチームに貢献できるかを考え、それを実践することだ。『カメ』のように慌てず騒がず、気が付けばレイカーズがプレーオフ圏内まで順位を上げ、同じく八村もチームに必要な戦力だと自然に認められていることが望ましい。
バンダービルトは言う。「みんな試合を重ねるごとにお互いを理解して、相性が良くなっている。毎試合で必要なプレーをして、このまま正しい方向に進むのが大事だ」