「信頼されていると感じるからこそ、快適に、自信を持って打てる」
ザイオン・ウイリアムソンとニコラ・ヨキッチの一騎打ちかと思われたペリカンズvsナゲッツは、ホセ・アルバラードが3ポイントシュート8本成功を含むキャリアハイの38得点で支配する試合となった。
CJ・マッカラムに続く2番手のポイントガードとしてコートに立ったアルバラードは、第1クォーター残り3分にコートに立つと、クォーターをまたいで5本のシュートを連続で決めて14得点を挙げる。第2クォーター開始1分半にファストブレイクからの3ポイントシュートを決めるとアルバラードは雄叫びを上げ、腕をグルグル回して観客を沸かせ、ファンは彼の名前をコールすることで応えた。
「2年目の僕が名前をコールされるなんて、驚くべきことだし、決して色褪せない。自分の名前のチャントを聞くと鳥肌が立つ思いだし、これからも全力でプレーしようと誓うんだ」とアルバラードは言う。
ザイオンはパワーと俊敏性で25得点、ヨキッチはスキルとバスケIQで32得点を挙げたが、その2人の対決をかすませるほどのインパクトがアルバラードにはあった。それでも試合後の彼は謙虚で、「僕はたくさん点を取るタイプの選手じゃない。みんなが僕にチャンスを作ってくれたおかげだ」と言い、こう続ける。「38得点も取ったのは記憶にない。大学時代は29得点だし、その前でもないと思う。忘れられないゲームになったよ」
それまでのキャリアハイは昨シーズン途中に記録した23得点で、それが唯一の20点超えだった。この試合、最初に連続でシュートを決めた時も、38得点を積み上げるとは全く予想していなかった。「最初のシュートが入った時は、ただ単に良い気分だった。とても38得点を取るのは思わなかった(笑)。コーナースリーが決まった時は『今日は調子が良いみたいだ』と思って、ファストブレイクの3ポイントシュートを決めた時は『今日はプレータイムがいっぱいもらえそうだ』と思った」と明かす。
アルバラードがここまでシュートを決めた理由は、彼が言うように周囲が良いチャンスを彼のために作り出したことにある。だがもう一つは、彼がザイオンとのピック&ロールを使う中で、相手ディフェンスの動きをよく見て、正確なプレーを選択できたことだ。どのチームも、スクリーンを掛けた後にザイオンがリムに向かい、そこにパスを合わされることを一番に警戒する。ピックを使ったアルバラードのケアは薄く、そのままジャンプシュートを打つことができる。
「今シーズン開幕前の夏のトレーニングの時点で、ザイオンが復帰することは分かっていた。ザイオンはヘルプなしじゃ止められないから、僕がオープンショットを確実に決めればチームに貢献できると思っていた。だからシュートは練習してきたけど、結果が出せているのはヘッドコーチやスタッフ、チームメートの信頼があるからだ。信頼されていると感じるからこそ、快適に、自信を持って打つことができる」
そのザイオンはアルバラードを高く評価している。ヒーローになったアルバラードの会見をすぐ脇で見守り、時々ヤジを入れたザイオンは言う。「ホセにはいつも『自分らしくやれ。そうすればこのチームの秘密兵器になれる』って言っているんだ。彼には典型的なNBA選手が持つ身体の強さがない。だからこそ、彼の活躍を見るとファンは興奮して思わず立ち上がるし、そのエネルギーはチームに伝わるんだ」
ナゲッツはヨキッチこそ32得点16リバウンド9アシストと活躍したものの、他の選手が不発。ジェフ・グリーンとマイケル・ポーターJr.をケガで欠いている状況で、特にベンチから出るメンバーが攻守ともにインパクトを残せなかった。一方のペリカンズでは攻撃ではアルバラードが大活躍。そして守備ではウィリー・エルナンゴメスがヨキッチを止める役割を果たし、セカンドユニットの貢献が大きかった。
今シーズンのエルナンゴメスは出場機会に恵まれていないが、限られたチャンスに結果を残し、それを同じベンチスタート組のアルバラードは喜ぶ。「これがウチの素晴らしいところさ。ウィリーやナジ(マーシャル)、ラリー(ナンスJr.)といった選手は10分から15分、時にはプレータイムが5分のこともあるけど、いつだって名前が呼ばれてもいいように準備していて、コートに立てば力を発揮する。NBAの試合ではマインドセットがとても重要だけど、僕らはいつだってやる気満々だ。そして全員が兄弟みたいな関係で、互いの成功を願い、誰かが好調であればボールを託す。今日だってそうやって勝てたんだ」