「緊張は感じますし、チームを勝たせないといけないという焦りはある」
横浜ビー・コルセアーズがホームにアルバルク東京を迎えたBリーグ第6節の第1戦は、最終クォーターを1点ビハインドで迎える接戦に持ち込むも、最終クォーターに地力の差が出てしまい70-82で敗れた。
立ち上がりはA東京の強度の高いディフェンスを前に3-10と出遅れたが、その後は徐々にリズムを取り戻し、第3クォーターには逆転する場面もあった。3ポイントシュート5本中4本成功を含む17得点、8アシストを挙げてチームを牽引した河村勇輝は「第3クォーターまでは良い戦いができていたし、僕たちのバスケットも出て、ディフェンスの強度も良かったです」と振り返った。それでも「第4クォーターで相手の力に屈して負けてしまいました」と、15-26とされた最終クォーターを反省した。「40分間戦い抜かないと勝てない相手ですし、僕たちは40分間やり抜くことで勝機が見えてくるチームです。自分たちのやるべきことをやり続けないといけないと思いました」
河村はこのA東京との第1戦を含む開幕からの10試合で平均15.7得点、10.7アシストというパフォーマンスを見せている。数字だけでなく、日本代表でも活躍しているだけに、対戦相手からのマークは試合を重ねるごとに厳しくなっている。この試合でも小酒部泰暉に立ち上がりから徹底マークされ、さらにスイッチで対応されたり、ダブルチームを仕掛けられたことで、試合序盤は河村が自由にゲームメークできない場面が多々見られた。それでも、河村はゲームメークにこだわるのではなく、自分へのマークが厳しいと分かるとスペーシングを意識した動きを増やすことで、試合中に見事にアジャストしていった。また、少しでもディフェンスとの間が空けば、3ポイントシュートラインよりはるか遠くからのディープスリーをねじ込んだことで、A東京ディフェンスを崩していった。
この試合だけでなく、日本代表戦などでも河村は常に冷静沈着なプレーを見せている。思うようなゲームメークができず、ミスをしたら焦ってもおかしくない状況でも河村はそのプレッシャーを乗り越え、最善の一手を指していく。試合中にパニックにならず、冷静にプレーし続けられている理由に、河村は仲間の存在を挙げた。
「もちろん、バスケットをしていく中で緊張は感じますし、チームを勝たせないといけないという焦りはあります。ただ、僕はバスケットをこのビーコルで一人でやっているわけではないですし、僕一人が背負ってやっているわけでもありません。チームメートがいて、仲間に感謝してやっているので、そういった焦りはそんなに感じません」
A東京との第1戦では、河村が徹底マークに合う中でベンチから出場した森井健太やキング開がチームに勢いを与えたり、河村が作ったスペースを利用して須藤昂矢が積極的にシュートを放つなど、選手それぞれが自身の役割を全うした。
数シーズン前の横浜BCであれば、A東京を相手に接戦を演じることはあまりなかった。それでも、今の横浜BCは接戦に持ち込んでも全く不思議ではなく、第1戦で敗れても、第2戦はどう修正してくるのかという期待が持てるチームへと成長した。河村自身も今のチーム力には手応えを感じており、だからこそ敗れたA東京との第1戦を「相手が強くて負けたというより、自分たちのミスで負けた感じでした。もっと自分たちに自信を持ってプレーして、僕たちはもっと強いチームであり、勝てるチームなんだと認識してプレーすることが大事です」と振り返った。
東地区2位を走る強豪A東京にも屈しない若き横浜BCが今日の第2戦でどんな戦いを見せるのか。そして、昨シーズンは1勝も挙げることができなかったA東京を相手に2シーズンぶりの勝利をホームで挙げることができるか注目だ。
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