「正直、手応えはあまりなかったです」とイラン戦は厳しい自己評価
バスケットボール男子日本代表は8月13日、14日に行われたイラン代表との強化試合を連勝で終えた。2試合ともに大きな勝因となったのはディフェンス面の奮闘だ。イランが経験不足の若手ばかりであったという事実はあるにせよ、力負けしたアジアカップと違い相手インサイド陣をよく抑えた。
この部分で堅実なパフォーマンスを見せたのが吉井裕鷹だ。今夏のワールドカップ予選Window3、アジアカップは3番で起用されていた吉井だが、今回の強化試合では主に4番でプレーし、厚みのある身体を生かしたコンタクトの強さと機動力でマッチアップした相手に仕事をさせなかった。
アジアカップで平均20.1分のプレータイムを獲得し、今回も初戦で20分50秒、第2戦で16分3秒プレーしたように、吉井は指揮官トム・ホーバスから確固たる信頼を得ている。代表での存在感をより高めた週末の2試合となったかに思われたが、本人は「正直、手応えはあまりなかったです。もっと、どこを良くしていけばいいのか模索中といったところです」と振り返った。
このように語った大きな理由は、ポジションが違ったことが影響している。「(アジアカップに続いての出場は)本当に感謝しています。ただ、前回は3番だったのが今回は4番となり、どうやってプレーしていくのか手探りなところがありました。4番になると、オフェンスではチーム全体を動かせるようにならないといけないです。オフェンス、ディフェンスともにもっと対応できるようにしていかないといけないなと感じています」
それでも吉井は「3番でも4番でも選んでもらえているのは自信になりますし、ありがたいことだと思います。2つのポジションをできれば使いやすいと思ってもらえます」と、アジアカップと異なる起用法をポジティブにとらえている。
「もっと代表での経験を積み重ねていきたい」
吉井は6月のディベロップメントキャンプからずっと代表活動に参加している。ここまでの起用のされ方を見れば代表定着と言っても差し支えないと思うが、本人は現状をこのように見ている。「アジアカップも出場させてもらっていて、トムさんがどういう風にしてほしいのか、ある程度は理解していると思います。定着とは言わないですけど、慣れてはいると思います」
その上で、より指揮官から信頼されるためにはスキルアップが必要と続けた。「細かく言い始めるときりがないですが、全体的なレベルアップが必要です。トムさんはその場、その場でどうして欲しいと言い続けるのでそれに対応するための力、スキルを持っておかないといけないです。自分のスタンダートを上げるとともに柔軟に対応する力を磨いていく。バスケIQの面でも新しい挑戦をしています」
昨日、今月末に行われるWindow4に向けた予備登録メンバー19名が発表され、吉井は順当に選出された。アウェーでのイラン戦、ホームでのカザフスタン戦ともに吉井がローテーションの一員として出場機会を得るのは間違いないだろう。着実に代表での存在感が増している吉井だが、「もっと自信を持たないといけないです」と語り、そのためにも代表に選ばれ続けたいと強調した。「自信をつけるためにも、その裏付けとなる実力をもっとつけないといけない。そのためには経験が必要です。代表に選ばれ続けて経験を積んでいけるように、常に全力で求められるプレーを体現し続けていきたいです」
Window4でも新たな経験を得ることで、吉井はさらにステップアップしていくだろう。そして普段から控え目な言動の吉井だからこそ、自分に確かな自信を持てるようになった時、どこまでスケールの大きな選手になっているのか楽しみで仕方がない。