指揮官「立ち向かっていったチームを誇りに思う」と後半のカムバックに手応え
この週末、西地区2位の島根スサノオマジックは敵地に乗り込み地区1位の琉球ゴールデンキングスと激突した。前回、ホームで対戦した3月11日、12日の時は、リーグ記録を更新中だった琉球の連勝記録を20で止めて1勝1敗で終えたが、今回は第1戦を82-93、第2戦を68-71と連敗を喫し、目の前で琉球に地区優勝を決められてしまった。
厳しい結果に終わった今回の遠征だったが、その中でも確かな収穫はあった。特に2試合目は第2クォーターに失速し33-47と劣勢でハーフタイムを迎えたが、第3クォーターに身体を張ったタフな守備によってカムバックし、接戦に持ち込んだ。最終的には中心選手の一人であるリード・トラビス欠場から来るインサイドの不利が響いて競り負けたが、「点差を開けられて迎えた後半、しっかり食いついていきました。パーフェクトな試合ではなかったですが、琉球さんという素晴らしいチームに立ち向かっていったチームを誇りに思います」と指揮官ポール・ヘナレが語る粘り強さを見せた。
第1戦で21得点を挙げるなど、非凡な得点力で存在感を発揮した司令塔の安藤誓哉も「2試合終わってみて、気持ちの面でしっかり戦いきれたと思います」とポジティブな要素を語る。
島根にとって同一カードでの連敗は今シーズン初めてとなったが、「連敗とかは正直、気にしていないです」と安藤は続け、強豪との対決はチームにとって貴重な経験になったと見ている。「離されたところでも焦らずに40分間、チームとして戦い続ける意識はかなり良かったです。僕たちはまだ一試合ずつ成長しなければいけないチーム。この時期に琉球さんとこういう試合ができたことで、また一歩、成長できたと思います」
この点については指揮官も同じ意見だ。「琉球さんのディフェンスを破るのが難しいのは間違いないと思います。ただ、後半、その激しいディフェンスをかいくぐって得点する部分がありました。これを経験できたのは琉球さんに感謝です」
「守備の強度の高いチームに対し、どんなマインドセットで臨まないといけないか」
安藤は具体的に得られた収穫をこう語る。「琉球さんはリバウンドでリーグトップくらいに強いです。とてもディフェンスの強度の高いチームなので、その相手に対してどんなマインドセットで臨まないといけないのか確認できました」
すでにチーム初のチャンピオンシップ出場を決めている島根だが、ヘナレは「チャンピオンシップについて考えるのはまだ早いです。レギュラーシーズンを一戦一戦しっかり戦っていきたいです」と、目の前の試合でいかにチームを成長させていくかに注力している。
これからの残り少ないレギュラーシーズンにおいて、大きな注目ポイントは3月6日の試合を最後に戦列を離れている主力選手のトラビスがいつ復帰できるかだ。もちろん万全のコンディションで臨むことが最優先だが、ゲーム勘を取り戻すためにはレギュラーシーズンを数試合経験してからチャンピオンシップに向かうのが理想だ。
それはトラビス本人のためだけでなく、周囲との連携を再構築する上でも重要となってくる。安藤は語る。「トラビスが欠場して以降、正直ポイントガードの役割は半分くらいになりました。今は(ペリン)ビュフォードがボールを持つ時間帯も長く、シューティングガードの役割も多くなっています。トラビスが戻ったら第4クォーターのラインナップも変わると思うので、彼が欠場前にやっていた感じにしっかり戻さないといけないです」
この2連戦、島根は7人ローテーションで戦っており、特にニック・ケイ、ビュフォードの2人はフル稼働を余儀なくされている。ここでトラビスが復帰すれば、彼らの負担は大きく軽減され、チームの爆発力、プレー強度が大きく増すのは間違いない。ただ、チームは生き物であり、復帰してすぐに故障前のようなコンビネーションを確立できるほど簡単な話しではない。今回の連戦で得た収穫を成長の糧とできるかに加え、トラビスの状況はチャンピオンシップの明暗を大きく分ける鍵だ。
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