トム・ホーバス

「もうちょっとレベルアップできたら絶対にチャンスがある」

東京オリンピックで女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスの男子日本代表ヘッドコーチとしての初戦は、中国を相手に63-79での敗戦となった。出だしで主導権を握られると、そのまま相手を慌てさせるほどに点差を縮めることができない完敗だった。

男子代表でのデビュー戦がほろ苦い結果となったホーバスは「試合が終わっていろいろ話したけど、やっぱり出だしが大きかった」と、11-27と大差をつけられた第1クォーターのつまずきを最大の敗因に挙げる。

サイズ不足を突かれ中国に20本ものオフェンスリバウンドを取られるなど、ハーフコートオフェンスでゴール下を支配され、日本が目指す走る展開に持ち込めなかった。さらに頼みの3ポイントシュートは35本中7本成功のみと完全に沈黙してしまった。一見すると八方塞がりのような中身であり、第2クォーター以降はよく立て直したとも指揮官は考えている。

「本当にスタッツを見ると、16点差の負けで終わったのはちょっと不思議です。相手がオフェンスリバウンドをいっぱい取り、ペイント内の得点も結構取られました。そして、ウチの3ポイントシュートの確率は良くなかったです。40点差がつくような感じの試合でした。そういう意味ではいろいろと良いディフェンスもできたし、ポジティブな面もあります」

だからこそホーバスは、明日のリベンジは十分に可能と考えている。「いろいろと直せるところはあります。第1クォーターが終わった後は同点でした。明日もうちょっとレベルアップできたら絶対にチャンスがあると思います」

不発に終わった3ポイントシュートに関しても、14本も打ってしまった第1クォーターは、「時間がたくさん残っていて、マークマンがついている中で打ったりとリズムが良くなかったです」と反省するが、第2クォーター以降については自分たちのリズムで打てたと言う。シュートは水物であり、「今日は入らない日で、こういう日もたまにあります。明日は入ります」と問題視していない。

トム・ホーバス

「この10日間、選手たちは一生懸命、頑張りました」

NBA組が不在の中、今日の試合はアジアの盟主である中国に力負けとなった。だが、ホーバスは女子代表の時と同じく、自分の厳しいトレーニングを乗り越えた選手たちを信じている。「この10日間、選手たちは一生懸命、頑張りました。毎日、良いエネルギーを出してよく集中していました。だから、これからが楽しみです。まだまだこれからです」

中国はゴール下の要であるジョウ・チーが、第3クォーターに足を痛めて負傷退場。明日の試合に出場する可能性は極めて低い。今日のチーは退場前、20分以下のプレータイムで24得点、7つのオフェンスリバウンドを含む12リバウンドと、日本を圧倒していた。その大黒柱が不在の中、再びゴール下を今日のように制圧されるのは許されない。

明日こそは、日本はここまでの合宿で磨き上げた自分たちの高速バスケットボールを繰り出してリベンジを果たしたい。それができると誰よりも信じているのはホーバスだ。