トレイ・ヤング

オフェンス有利な状況は緩和されるか?

近年のNBAではディフェンスから故意にファウルを誘発し、フリースローで得点を重ねるケースが増えている。ファウルドローもスキルの一つではあるが、得点ではなくファウルを狙いに行く傾向は明らかに見られ、ディフェンスの動きは制限されて、試合も何度も中断されてリズムが悪くなるなど、様々な影響を及ぼしていた。

以前からこうした傾向を問題視していたNBAは、8月初旬にオフェンス側に有利な現行ルールの変更を発表した。NBA審判部副代表であり審判育成トレーニング部門代表を務めるモンティ・マカッチェンは「我々はバスケットボールをプレーしてほしいだけ」と語った。

ファウルドローは技術の一つとして見られてきたため、トレイ・ヤングやジェームズ・ハーデンなどのベストプレーヤーたちは、フリースローの試行回数を増やすための新しい方法を常に模索してきた。その結果、ファウルを誘発するための『特殊』なプレーが増えた。だからこそ、マカッチェンは「選手が通常のプレーとは異なる方法で、試合を歪めようとする行為をなくすため」と語り、今回の改定の焦点がルールの変更ではなく、解釈の変更であることを強調した。

『特殊』なプレーの例
・シューターが異常な角度でディフェンダーに当たりにいく
・シューターが異常な角度で足を、上または横に蹴る
・シューターがディフェンダーの腕に絡ませてシュートを狙う

そして、最大の変更点はポンプフェイクで相手を跳ばせた後、ファウルを誘うために不自然にディフェンダーと接触する選手にオフェンスファウルを宣告するようになったことだ。

このプレーは接触がわずかだったため、互いにノーファウルとなったが、オフェンス側がさらに激しく当たりにいった場合、オフェンスファウルがコールされることになる。

このように今回のルール変更によって、フリースローの数が減少し、試合展開がスムーズになることはありそうだ。それでもルールの隙間をかいくぐり、新たなファウルドローの技術が生まれる可能性もあり、マカッチェンも「選手がファウルを獲得する方法はたくさんある」との見解を示した。

そして、マカッチェンは「我々はフリースローを減らしたいわけではなく、フリースローを獲得することだけを目的とした異常な動きを阻止したいのだ」とあらためて強調した。