前田顕蔵

「僕たちは千葉でも宇都宮でも川崎でもA東京でもない」

秋田ノーザンハピネッツはバイウィーク前の千葉ジェッツ戦で連敗を喫した。第1戦では攻めのディフェンスを遂行して終盤まで接戦となったが、1ポゼッション差で敗れた。しかし、第2戦では出だしから千葉のペースで試合が進み58-102と完敗を喫した。

前田顕蔵ヘッドコーチは第2戦後の会見で「内容的には完敗でした」と肩を落とす。「水曜日に宇都宮さんと、昨日は千葉さんと接戦をする中で、土日の連戦というところで上手くゲームプランを立てられなかった。そして選手を救えなかった部分ですごく自分の力不足を感じました」

第2戦では第1クォーターから2桁のビハインドを背負い、さらに試合終盤では外国籍選手2名がファウルアウトするなど、心身ともに秋田は力尽きていた。前田ヘッドコーチも「今日に関しては、もうスタミナが残っていなかったというのが正直なところです。全く足がないのは千葉さんも理解していたと思いますし、もうついて行けなかったです」と打ち明ける。

点差は時間とともに広がり、秋田の勝機は早々に潰えたが、前田ヘッドコーチは最終クォーターの終盤でもタイムアウトを使って、選手を鼓舞し続けた。「チームには『たくさんのお客さんが見に来てくれていて、プロとして試合をしている以上は、自分たちの弱みやフラストレーション、バラバラになるような態度を見せるのは絶対にやめよう』とハーフタイムで話しました」と前田ヘッドコーチは言う。

この第2戦だけを見れば課題の方が多かったことは確かだ。それでも、これまでの15試合を振り返ると、秋田は宇都宮や千葉、SR渋谷に敗れはしたものの、どちらが勝ってもおかしくない試合を繰り広げ、手応えも得ている。「今は8勝7敗ですが、琉球とのGAME2やSR渋谷、宇都宮、千葉という本当にトップチームと最後まで分からない試合をシーズン序盤の早い段階でできたことは、非常に良い要素だと思っています」と収穫を語る。

「そこで勝ちきれるように持っていきたい。僕たちは戦えるかどうかみたいなレベルではやりたくありませんし、そこに焦点を当てると弱いチームになってしまう。僕たちが良い状態の時にどうやってそこを作り上げて、さらにそこから一つ上がって行くのかが大事だと思います」

前田顕蔵

「ロスターが揃えばまた全然違うチームになれる」

Bリーグは約2週間のバイウィークを迎えており、前田ヘッドコーチはこの期間に「チームの成長にフォーカスしていきたい。自分たちの良いところに焦点を当てることが大事だと思っています」と自身の考えを語る。「悪いところを見るとしんどいですし、僕たちは千葉さんでも宇都宮さんでも川崎さんでもA東京さんでもない。その中でどうやって戦っていくかを模索しているチームなので、悪い部分よりも良いところ、可能性の部分にフォーカスして自信をつけていきたいです」

秋田ではハビエル・カーターと古川孝敏がケガのため欠場が続いているが、「ロスターが揃えばまた全然違うチームになれると思っています」と前田ヘッドコーチは力強く語る。今シーズンの秋田は攻めのディフェンスだけでなく、オフェンスでは『日本人選手が点を取るバスケ』をコンセプトに掲げている。ここまでの15試合でも秋田が持つ『可能性』の部分は見せてきている。まだまだ続く今後のリーグ戦に向け、「良いところを伸ばして悪いところを削る。そうやってトップチームに勝ちきれる力をつけていきたいです」と言う前田ヘッドコーチの手腕に期待したい。