ルカ・ドンチッチ

『輝かしい未来』は2年以内の到来がベストシナリオ

NBAの将来を担う逸材、ルカ・ドンチッチを擁するマーベリックスには、輝かしい未来が約束されているように見える。だが実際は、ドンチッチをルーキー契約で保持しておけるのはあと2シーズンだ。NBA挑戦2年目にしてリーグのファーストチームにも名を連ね、MVP候補に挙がってもおかしくない実力を見せるエースを擁する以上、『輝かしい未来』は何年か後ではなく今オフの編成で具体化させないといけないものだ。

ルーキー契約を終える2023-24シーズン以降もマブスは当然、ドンチッチを引き留める。しかし、その場合は超高額の年俸を支払うことになる。彼の周囲を優秀なプレーヤーで固めて優勝を狙うのであれば、この2シーズンこそがチャンスだ。マブスもそれは理解しており、ドニー・ネルソン球団社長はドンチッチとクリスタプス・ポルジンギス以外はすべてトレードに出しても構わないと周囲に漏らしていると『The Dallas Morning News』は伝えている。

そのため、今オフのマブスは『攻め』に出ると予想される。今オフはフリーエージェント市場に大物が出ず、ドラフト候補も小粒。多くのチームが来年オフのヤニス・アデトクンボ、あるいはカワイ・レナード争奪戦に思いを馳せる、その間隙を突いて一気にチーム強化を果たすことを考えている。

優勝へ近づくためまず手を付けるべき課題はディフェンスだ。マブスは平均得点117.0でリーグトップでありながら失点は126.7でリーグ最下位。センターのドワイト・パウエルのケガが痛かったが、彼のコンディションが万全であったとしても優勝を目指すのであれば物足りない。マブスはセットオフェンス主体のチームで、それならばディフェンスに振り切ったビッグセンターも使えるため、来オフにフリーエージェントになるジャズのルディ・ゴベアを狙いたい。また、この1カ月で可能性は消えたようにも見えるが、セブンティシクサーズが解体へと舵を切るようであればジョエル・エンビードもオールベットで取りに行くべき戦力だ。

荒唐無稽な計画にも思えるが、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスのタッグが続くレイカーズがいる西カンファレンスは、それぐらいの『本気』でないと勝ち抜けない。

ただ、そこまでいかなくてもキャバリアーズのアンドレ・ドラモンド、サンダーのスティーブン・アダムズと選択肢はある。少なくともポルジンギスがケガがちなことを考慮すれば、インサイドでフィジカルに戦う負担はできる限り抑えたい。フリーエージェントの即戦力、4番ポジションでリバウンドが取れ、勝負強さのあるダニーロ・ガリナーリやサージ・イバカの獲得は是非とも実現したいところだ。

ガード陣に目を向ければ、ティム・ハーダウェイJr.やセス・カリーよりもフィジカルが強く、ドンチッチの負担を減らすディフェンスマンが欲しいところ。点の取れる選手はすでにいるため、とにかくディフェンスからチームを支えられる選手が欲しい。

NBAドラフトでは18位と31位の2つの指名権を保有。今回のドラフトは目玉不在と言われ、上位指名権を持つチームがトレードを考えるケースも多い。これを利用して指名順位を上げ、即戦力となるルーキーを取りに行くことも考えられる。

いずれにしても、様子見のチームが多いであろう今オフだからこそマブスは『逆張り』で優位に立つことができる。今シーズンのマブスはプレーオフ1回戦で敗れたが、クリッパーズを最後まで苦しめたことで将来性は感じさせた。その潜在能力を新シーズンに一気に開花させられるか。これから1カ月はマブスの命運を左右する大事な期間となる。