ライアン・ロシター

苦戦しながらも自分たちのスタイルを貫く

宇都宮ブレックスは信州ブレイブウォリアーズとの第2戦で、第3クォーターまでビハインドを背負う苦戦を強いられた。それでも、アドバンテージのあるインサイドを徹底的に突くことで第4クォーターを28-11と圧倒し、逆転勝ちを収めた。

最終クォーターに12得点の荒稼ぎを見せ、勝利の立役者となったのがライアン・ロシターだ。「サイズでアドバンテージがあるところをしっかり生かして、勝ちに繋げることできた」とロシターが言うように、信州の外国籍選手がジョシュ・ホーキンソン一人しかいない状況で、ロシターは日本人選手とのマッチアップを作り出しペイントエリアを制圧。トランジションで速攻の先頭を走り、素早くポジションを取ってゴール下で得点を量産した。

第3クォーターまでリードを許す展開となったが、ロシターは苦戦した理由をこのように語った。「外国籍選手や主力選手がいない時、残りの選手がステップアップして激しくプレーすることはよくある。僕らはどちらの立場になったこともあって予測はしていたけど、やはり難しい試合になった」

戦力差と実績からすれば『勝って当然』と見られてもおかしくはない。だが、こうしたシチュエーションは時に選手におかしなプレッシャーを与える。「選手が欠けているチームとやる時は自然とエナジーが下がってしまう時があって、相手はより気持ちが入った試合になる」と、ロシターも言う。

また、宇都宮が苦しんだ理由の一つに序盤にインサイドを強調できなかったことが挙げられる。センター陣にディスアドバンテージを抱える信州に対し、リーグトップクラスのインサイド陣を持つ宇都宮がシンプルな高さ勝負に持ち込めば、試合を有利に運べただろう。だが、宇都宮は弱点を突くのではなく、チームバスケを貫いた。

「ファウルをもらうなり、僕がポストを狙い続けることもできたが、序盤はインサイドに固執しない普段通りのバスケをやっていた。高さのアドバンテージを突くよりチームバスケを選択した。ボールをシェアして全員で戦うのが僕らのスタイルで、強豪との試合に備えるためにも、自分たちのやり方でプレーしたかったんだ」

目先の1勝に固執するのであれば、弱点を徹底的に突けばいい。だが、チームの成長を見据えた宇都宮はその選択をしなかった。逆に言えば、ゲームプランを変えさせ、インサイドを攻めざるを得ない状況に持っていった信州を褒めるべきだろう。

次節、宇都宮はアウェーで千葉ジェッツと対戦する。ロシターは「フィジカルな部分とトランジションディフェンス、特に富樫(勇樹)選手のアタックに注意しなければならない。常にタフな試合になるけど、楽しみたい」と意気込んだ。信州に苦しながらも勝ち切ったことでチームはさらに自信を強めた。