多嶋朝飛

名古屋Dの速いペースに惑わされずゲームを遂行

レバンガ北海道が名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームに乗り込んだ開幕節。第1戦は54-89と大敗を喫したが、第2戦では78-66で勝利した。

北海道は初戦から積極的なディフェンスを仕掛けるが、足よりも先に手が出てしまい前半からファウルが増えリズムをつかめなかった。最終的にはチーム全体で27ファウルを犯し、名古屋Dにフリースローだけで23得点を与えた。第1戦ではオフシーズンに準備してきた『レバンガ北海道のディフェンス』を遂行できず、さらには審判の笛に対応することができなかったのが敗因の一つだ。

しかし、第2戦では北海道の攻めのディフェンスが上手く機能する。手ではなく身体でしっかりと守り、ローテーションも徹底することで名古屋Dに簡単に攻めさせない。第1戦では自分たちがファウルでリズムを崩していったが、第2戦では試合開始5分で名古屋Dからオフェンスファウルを4つも誘発するなどして、フラストレーションを与える守備を遂行した。

多嶋朝飛は「ディフェンスに関しては第1戦とやるべきことは何も変わらなくて、チームとして自分たちが準備して来たディフェンスをしっかりコート上で出そうとしました」と勝利した第2戦を振り返る。

「第1戦では早めにファウルが溜まってフリースローでどんどん点差を広げられましたが、今日はまだ完璧でないとはいえ、しっかり我慢するところは我慢できたと思います。こうやって粘り強く自分たちがやるべきことを続けながら40分間を通して戦って行きたいです」

多嶋朝飛

「粘り強く我慢して戦い抜けた点が今日の勝利に繋がった」

得点源であるニック・メイヨが前半だけで16得点を挙げる活躍を見せたが、後半になるとインサイドではダブルチームで、ペリメーターでも前半のようには簡単にシュートを打たせてもらえず北海道のオフェンスが停滞する。

後半の開始時には2桁あった点差だが、齋藤拓実や安藤周人、笹山貴哉に速いバスケットを許し、最終クォーターを迎える時は1点差まで詰められていた。

しかし、宮永雄太ヘッドコーチが「セカンドチームの多嶋と内田(旦人)が良いオフェンスを作り、良いシュートを決めてくれました。彼らの活躍は非常に大きかったです」と試合後に振り返ったように、相手のペースになりかけた時間帯に司令塔の多嶋がオフェンスのリズムを整えた。

名古屋Dがトランジションバスケで一気に畳み掛けてくる中、多嶋は相手のリズムに惑わされることなく、ハーフコートオフェンスで自分たちの攻めを遂行した。メイヨにボールを預けてディフェンスを引き寄せるとフリーになった多嶋や内田が外角から得点を重ねる。

多嶋は「前半は自分の判断の部分があまり良くありませんでした。後半ではしっかりと切り替えて、持ち味である得点力を生かして大事なところで決めようと思いました」と言う。「点差を詰められてしまっても自分たちが良いゲームコントロールをしながら進めることはできると思うし、そこからしっかりと盛り返してチームとして粘り強く我慢して戦い抜けた点が今日の勝利に繋がった要点だと思います」

拮抗した終盤では名古屋Dは焦りからかバックコート陣のターンオーバーが目立ったが、北海道は多嶋を中心に一つひとつのプレーを正確に確実に遂行することで苦しい時間帯を耐え勝利をつかんだ。

それでも多嶋は「満足したゲームができたかと言われれば、まだまだ自分たちが求めているところはもっと上だと思う」と初勝利も満足はしていない。「この2戦でできたこと、できなかったことをしっかり次節に繋げて行けるように、シーズンを通して成長していきたいと思います」

相手どうこうではなく、自分たちのバスケットを40分間遂行して勝利をつかみ取ったことは大きい。まだ2020-21シーズンは始まったばかりだが、シーズンを通して成長してく新生レバンガ北海道のバスケットが楽しみだ。