[CLOSE UP]竹内公輔(栃木ブレックス)攻守に駆け引きの妙を見せた『ベテランの味』、古巣相手の大一番で本領を発揮

2017/05/20
Bリーグ&国内
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文=大島和人 写真=B.LEAGUE

互いを知り尽くした桜木ジェイアールとのマッチアップ

チャンピオンシップのセミファイナル第1戦。栃木ブレックスはシーホース三河を68得点に封じて勝利をモノにした。インサイドの守備が光った中で、ヘッドコーチのトーマス・ウイスマンがまず名前を挙げたのは竹内公輔だ。指揮官はその奮闘をこう称える。「ディフェンスで竹内が素晴らしい活躍をしてくれた。ローポストに簡単に入れさせないことが徹底できた」

普段の三河は桜木ジェイアールがインサイドでボールを受けて起点になり、比江島慎や金丸晃輔といったアウトサイドを生かすスタイル。現に金丸は琉球ゴールデンキングスとの2試合で計50得点を挙げている。しかし栃木はその金丸を第1戦で9得点に封じ込んだ。竹内を中心としたインサイド陣が桜木によく対応し、中を起点にするパス回しを封じたことが、比江島や金丸の持ち味を消すカギになった。

竹内にとって三河(旧アイシン)は大卒後に2007年から4シーズン在籍していた古巣。桜木は当時のチームメートで、お互いに手の内を知り合う相手でもあった。竹内は元同僚に『神経戦』を仕掛けていた。彼は言う。「4年間一緒にプレーしていて、彼がどうしたらイライラするかというのもだいたい分かる。彼がレフェリーに文句を言っている時には頑張って走って、彼を疲れさせるようにした。そうしたら彼は集中してプレーできなくなると思っていた」

守備に加えてそんな駆け引きの妙もあり、今日の桜木は4得点。リバウンド、得意のアシストはいずれも「0」という厳しいスタッツとなった。

「三河がスペースを僕にくれる展開」で得点に意欲

また彼が「長い時間プレーするライアン(ロシター)の負担がどうしても大きくなるので、できる限りギャビン(エドワーズ)に付くようにしていた」と説明するように、竹内がセンタープレイヤーのマークを引き受ける場面もしばしばあった。竹内は外国出身のビッグマンと五分以上に渡り合うことのできる、日本人選手の中でも希少な存在だが、三河の強力なインサイドに対してもその強みを発揮していた。

竹内自身のリバウンドは合計4本に留まった。それは彼が「自分たちがボックスアウトして、リバウンドをガードの選手たちに取ってもらうような感じでできたらいい」と振り返るように、チームプレーに徹した結果だ。パスを中に入れさせないディナイの動きや、ボックスアウトなど『数字に残らない』貢献が顕著だった。

竹内は縁の下の力持ちタイプで、オフェンスであまり『取りに行く』タイプではない。しかし20日の第1戦は12得点を挙げ、ライアン・ロシター、ジェフ・ギブスに次ぐ数字を残している。三河のオーバーヘルプによってオープンな選手が生まれやすい展開の中で、自然に竹内が空く展開になっていたということが理由だろう。ただそんなチャンスを生かせたのも、良い準備があったからだ。

竹内はこう語る。「三河がスペースを僕にくれると思っていた。アシスタントコーチ陣もそれは予想していて、千葉戦が終わってからシューティングは時間をかけてやりました」

ライバルへの思い「千葉の思いも背負って戦っていた」

竹内は栃木に移籍して今季が1年目。それはいい出会いになっているようで、彼は観客も含めた『ブレックスネーション』の力を感じている様子だった。

例えば彼はコーチング陣の能力と献身についてこう述べる。「僕らが来る前からずっと相手の分析をしている。練習が終わったら僕たちのトレーニングに付き合ってくれる。本当に感謝しかない。強いチームには良いスタッフがいるものですが、素晴らしいチームだなと思っている」

準々決勝、準決勝とチケットは全試合が売り切れ。ブレックスアリーナ宇都宮では連日、約4000人の観客がBリーグ最高レベルの熱気を発している。竹内はそんな後押しについてもこう語る。「今までの僕がプレーしていたプレーオフとは盛り上がりが全然違う。2位で通過してホームでクォーターファイナル、セミファイナルをホームで戦うことができている。それはチームが勢いに乗れている理由かなと思う」

竹内は話の最後に準々決勝で退けたライバルへの思いも口にしていた。「千葉とは11試合して6勝5敗。Bリーグ一のライバルだと僕は思っている。千葉の選手もみんな僕たちに『優勝してくれ』と言ってくれた。仲の良い選手がいっぱいいるので、ハイタッチの時とかに言われました。千葉の思いも背負ってみんな戦っていたし、千葉と1回戦を戦うことができて良かったなと思っている」

ライバル千葉に連勝し、三河との初戦を取り、栃木のファイナル進出まであと1勝。近年はケガに苦しんだ彼にとっても、久しぶりのハッピーエンドが見えてきている。7年ぶりの日本一を勝ち取る『ラストピース』として、竹内の存在価値を感じたセミファイナル第1戦だった。