[CLOSE UP]西村文男(千葉ジェッツ)『最後の大勝負』を前に戦線復帰を果たした司令塔、ようやく言えた「ただいま」

2017/04/23
Bリーグ&国内
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文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦

ケガが長引く苦しいシーズン、名実ともに戦線復帰

4月22日、千葉ジェッツは仙台89ERSに96-53で圧勝。前半終了時点で40点差を付けるなど、一時はトップリーグの世界では稀なダブルスコアを狙える勢いだった。

この完勝の大きな要因は、15点リードで迎えた第2クォーターに立ち上がりの勢いをさらに加速させ、このクォーターで34-9と大きく突き放したこと。その立役者のは、このクォーターで3ポイントシュート4本を決めて12得点を挙げた西村文男だ。

西村といえば、開幕直後の10月早々に左手の指を骨折して長期離脱。2月25日の琉球ゴールデンキングス戦で復帰したが、コンディションが上がらずに苦しんだ。そして、チームには同じ司令塔のポジションに富樫勇樹、阿部友和という実力者がいることもあり、プレータイムは少ないところか、出場機会なしに終わる試合も少なくなかった。

だが、アルバルク東京との上位対決となった前節の連戦では2試合連続で約18分の出場で勝利に貢献。そして昨日は20分の出場でゲームハイの18得点をマーク。ここに来て、ようやく名実ともに『戦線復帰』と呼べるパフォーマンスを見せている。

高確率で沈めた3ポイントシュート(試合全体で8本中6本成功)について西村は「チーム自体の調子が良く、その流れに乗せてもらいました」と語る。

そして「後半はタイラー(ストーン)のアシストを増やしてあげたいがためのタフショットもありました。彼がトリプルダブルまで、あとアシスト2本だったからです。惜しかったですね」と続けた(ストーンは12得点14リバウンド8アシスト)。

圧勝を演出する活躍も、本人は「自信はまだない」

ヒーローと呼ぶに評する数字を残した西村だが、本人は「シュートが入っていただけで、他に何か貢献していたかと言えば、そういうわけではなかった」と自身に厳しい評価を下している。

このように西村が語るのも、コンディションが復帰当初に比べて上がってはいるが、まだ完全復活には至っていないからかもしれない。「やっとここまで戻ってきたという思いですが、まだ痛みはあります。自分の持ち味はドリブルだと思っていますが、意図しないところでファンブルしてしまっている。まずは、ドリブルをもともとつけていたくらいにしたいですが、その自信はまだないです」

ちなみに大野篤史ヘッドコーチは、ここに来て西村のプレータイムが増えてきている理由を次のように語る。

「阿部が悪いわけではなく、西村がエナジーを持って取り組んでくれています。技術的に何も言うことはない選手です。チームメートにどういうものを与えられるかがポイントガードとして重要と言ってきた中、そこが見えてきているのは良い収穫です。今日はディフェンスで前からプレッシャーをかけ、ポイントガードとしてディフェンスへの高い意識をセットしてくれました」

「みなさんに『ただいま』と言いたいと思っていました」

西村も「コーチがディフェンスでハードにエナジーを出すようと言っているので、そこは心掛けています」と、まずは守備を意識。そして、チームメートに何を与えられるかという点では、例えば同じくベンチスタートではあるがチームの得点源であるストーンとの連携については、いかに彼を気分良くプレーさせるかを重視する。

「タイラーと一緒にプレーする時は、彼にパスをどんどん出していき、彼の持ち味である得点力をうまく引き出していく。また、ボールを触らせてあげないとフラストレーションが溜まることもあります。ボールを持たせすぎず、一番良い状況でプレーしてもらえるように考えています」

昨日の試合後に行われたヒーローインタビューで、「ただいま」と語ったが、その理由を「復帰した後にファンの方にいつも『おかえり』と言われていたので、どこかのタイミングでみなさんに『ただいま』と言いたいと思っていました。少し遅くなりましたが、今日は良いタイミングでした」と明かした。

プレーオフ、ファーストラウンドのホーム開催権を得られる地区2位への浮上に向け、千葉にとって頼りがいのあるベテランが帰ってきたことは間違いない。