写真=Getty Images

すべてゲームハイの50得点16リバウンド10アシストを記録

サンダーのラッセル・ウェストブルックが、ついにNBA史上初の快挙を達成した。

ウェストブルックは4月9日にペプシ・センターで行なわれたナゲッツ戦で今シーズン42回目のトリプル・ダブル(50得点16リバウンド10アシスト)を達成し、1シーズンにおけるトリプル・ダブル達成回数のNBA新記録が誕生。しかも、逆転ブザービーターを決める最高の形で試合を締めくくった。

ウェストブルックは、第4クォーター残り4分17秒にドライブからペネトレイト後、右コーナーで待機していたセマージ・クリストンにキックアウト。クリストンが3ポイントシュートを成功させたことでウェストブルックがアシストを2桁に乗せた。この瞬間、1961-62シーズンにオスカー・ロバートソンが打ち建てた年間41回のトリプル・ダブルを超え、前人未到のシーズン42回目のトリプル・ダブルを記録する選手が誕生した。

試合の最後も劇的だった。103-105で迎えた残り2.9秒、サンダーのスローイン。ウェストブルックはナゲッツにプレッシャーをかけられパスを受けられないが、スティーブン・アダムスが一度受けてすぐさまボールを託す。躊躇する時間はなく、ウェストブルックがそのまま放ったジャンプシュートが試合終了のブザーと同時に決まり、106-105で逆転勝利。ウェストブルックのもとにはチームメート全員が駆け寄った。

試合後、ウェストブルックは決勝ブザービーターについて「いつも試合前に練習しているシュート」とコメント。年間トリプル・ダブル達成回数の新記録樹立については「今日の試合を両親に捧げる」と語った。

「ワンマンチーム」との批判をはねのける圧倒的活躍

この日のトリプル・ダブルにより通算79回に到達したウェストブルックは、ウィルト・チェンバレン(78回)を抜き歴代単独4位に浮上。今シーズン2試合を残し、平均31.7得点、10.7リバウンド、10.4アシストという成績を残している。

サンダーは西カンファレンス6位でのプレーオフ1回戦進出が決まっているが、新記録樹立によりウェストブルックがシーズンMVP受賞に相応しいという意見が増加するのは確実。チームスポーツにおいて最重要視されるのはチームの戦績と結果だが、チームの勝敗にこれほど影響力を与える選手も少ない。昨年オフにケビン・デュラントが退団して以降、ウェストブルックの『ワンマンチーム』になったとの批判もあるが、NBA史上最もオールラウンドな選手に成長したことを忘れてはならない。もはや、ウェストブルックのシーズンMVP受賞に異論を挟む余地はないだろう。

昨シーズンはウォリアーズが73勝9敗を記録し、1995-96シーズンのブルズが打ち立てた72勝10敗を上回り年間最多勝利記録を更新した。そして今シーズンはウェストブルックが『不滅の記録』と呼ばれた年間トリプル・ダブル達成回数の新記録を誕生させた。現代のNBAは、タレントの数、質ともに、まさに『史上最高』の時代に突入したのかもしれない。