「一人ひとりに得点力があるので、どう生かすかを考えながらやってきました」
今年のウインターカップは女子は桜花学園(愛知)、男子は福岡大学附属大濠(福岡)の優勝で幕を閉じた。
桜花学園はこれで夏のインターハイ、冬のウインターカップともに3連覇を成し遂げている。大会ベスト5にはキャプテンで大黒柱の朝比奈あずさ、同じく3年でポイントゲッターの平下結貴、そして2年生ながら大会を通して、どれもチーム最多となる平均16.8得点、7.2リバウンド、3.0アシスト、4.2スティールを挙げた横山智那美が選ばれた。
そんなタレント揃いのチームを司令塔として引っ張っていたのが3年生の伊波美空だ。「チームの一人ひとりに得点力があるので、自分はガードとしてそこをどう生かすかをしっかり考えながらやってきました」と伊波が振り返ったように、留学生プレーヤーを擁するチームとの対戦でも伊波がディフェンスの裏をついたパスを朝比奈に送ることで得点へと繋げていった。
そして、伊波は周りを生かすだけでなく、自らもしっかりと得点に絡んで勝利に貢献した。2点差で勝利した準々決勝の明星学園(東京)戦、そして4点差で勝利した京都精華学園(京都)との決勝戦でも終盤に3ポイントシュートを決め切った。伊波はこの3ポイントシュートについて「自分の中での成長」と語る。
「自分は3ポイントシュートでも得点を稼ぎたいと思っていたので、ウインターカップに向けて自主練で打ち続けてきました。自信を持って3ポイントシュートを打って、明星戦でも決めることができたし、3ポイントシュートで得点を取れたことが自分の中で成長できた部分だと思います」
「大事な場面で自分は積極的に攻めることを忘れずにやってきました」
高校3年間の集大成となるウインターカップを制して、高校バスケの幕を閉じた伊波だが、この3年間は辛いこともあったという。
昨年までの桜花学園のポイントガードは1年生の時から先発を務め、伊波にとっては1学年先輩の江村優有がいた。その江村の前に桜花の司令塔を務めたのは、今夏に3×3で東京オリンピックに出場した山本麻衣だ。
その名だたる先輩たちから桜花の司令塔を引き継いだ伊波だが、「新チームになった時は、やっぱり江村さんと比べられることがあって、すごく苦しいこともあったんですけど……」と涙で言葉を詰まらせた。
「それでも先生からは『積極的に攻めろ』とか、『シュートも入るまで打て』と声をかけてもらいました。周りの得点力があることを生かしながら、そこを止められた時に自分がアタックできればいいと思っていたので、大事な場面で自分は積極的に攻めることを忘れずにやってきました」
ポイントガードは言わば、コート上の指揮官だ。名門桜花学園の司令塔を務めることは相当なプレッシャーがあったのだろう。「しんどかった?」との問いに、伊波は「はい(笑)」と答えつつも、スッキリとした表情でこう語った。
「1年生の国体でポイントガードをやらせてもらって、そこからはBチームのポイントガードをやらせてもらっていました。でもその時も先輩に対して指示をもっと出せとか言われて、2年生の時もBチームのガードを任せられていたので、指示出しとかで苦しい時もあったんですけど、今はそれがあったから優勝できたんだなって思えるので大丈夫です」
そして、ともに戦ってきたチームメートへの感謝を続けた。「本当に一人ひとりの得点力が高くて、それに助けられた部分がありました。そこは本当にチームのみんなに感謝しています。プレーする時に自分の指示にしっかり信じてついてきてくれたことが、自分がポイントガードをやっていて良かったなと思えたことなので、本当にチームに感謝しています」