ステフィン・カリー

カリーを徹底マーク、ロースコアゲームに持ち込んで勝機を見いだす

現地12月28日、ナゲッツは敵地でウォリアーズを撃破した。それまで27勝6敗と堂々のリーグ首位を走るウォリアーズはドレイモンド・グリーンを欠いていたが、これまで健康安全プロトコルを含め多くの選手を欠いても勝ち続けてきたチームだ。対するナゲッツは今シーズンなかなか調子が上がらない。ジャマール・マレーの復帰を待たずしてマイケル・ポーターJr.が古傷の腰が限界に達して戦線離脱。ウォリアーズ戦ではアーロン・ゴードンとモンテ・モリスもケガで欠場した。

戦力的にも、チームの勢いでも、そしてホームで戦う『地の利』でもウォリアーズに死角はないように見えたが、ナゲッツは徹底したディフェンスで優位を作った。ウォリアーズの得点が100を下回ったのはこれが3試合目で、すべて敗れている。ロースコアのディフェンス勝負に持ち込むこと自体が難しいのだが、ナゲッツはそれを遂行した。

指揮官のマイク・マローンは「いつもと同じ守り方では、ウォリアーズは止められない」と語る。ナゲッツがやったのは徹底したステフィン・カリー対策だ。試合開始直後、ファクンド・カンパッソがカリーに襲い掛かってスティールに成功。この先制パンチが決まったことで、カリーのリズムが狂う。オースティン・リバースやウィル・バートンはカリーがピックを使っても必死に追いかけて横や後方から圧力を掛け、スイッチしたジーク・ナジと挟み込んで判断の余裕を削いだ。

マローンは「ステフは明らかにこのリーグの偉大な選手の一人だ。我々はコート上の5人全員で彼に対してディフェンスをした。事前の準備として、普段とは全く異なるディフェンスを練習した」と言う。バートンは「ステフがどれだけ危険なシューターなのかはみんな知っている。どんなシュートでも決めてしまう相手だからこそ、イージーなチャンスは決して与えたくなかった」と続けた。

前半を終えてカリーの3ポイントシュートは5本打っていずれも決まらず。アンドレ・イグダーラのパスを受けたカリーがレイアップで初得点を記録したのは第2クォーター残り2分。この時点でナゲッツのエース、ニコラ・ヨキッチはすでに14得点7リバウンド4アシストと大活躍しており、55-33とナゲッツが大量リードを奪っていた。グリーンに代わって先発起用されたホワン・トスカーノ・アンダーソンは「相手の術中に完全にはまってしまった。相手の守り方に対応できなかった」と語った。

そのナゲッツのディフェンスも、カリーを48分間止めることはできない。カリーは第3クォーターに6得点、第4クォーターに15得点と尻上がりにペースを上げ、ウォリアーズもこれに足並みを揃えるようにエナジーを出して点差を詰めていった。カリーが3ポイントシュート連発に加えて、ゲイリー・ペイトン2世へのタッチダウンパスでのアシストで、残り1分で同点に追い付く。

残り30秒で2点差としたウォリアーズは、ヨキッチとバートンのピック&ロールを防いで残り10秒で最後のチャンスをつかむ。カリーからオットー・ポーターJr.へと繋ぐ速攻で、ナゲッツのディフェンスはカリーを見失った。ところが、ポーターJr.にもこれが見えていない。ジョナサン・クミンガがゴール下のシュートを狙ったが、これはヨキッチが余裕十分のブロックショットで阻む。ラストショットをカリーのワイドオープンに託すことのできなかったウォリアーズが86-89で敗れている。

最後はウォリアーズにミスが出たが、ナゲッツの勝因はやはり前半にカリーを2得点に、ウォリアーズを36得点に抑え、ロースコアゲームに持ち込んだことだ。

22得点18リバウンド5アシスト4スティール、そして勝利を決定付ける1ブロックを記録したヨキッチは「ウォリアーズは今のNBAにおけるベストチームだ。だけど、僕らは自分たちに勝機があると分かっていた。大事なのはそこなんだ」と、勝つための方法を用意し、それを確実に遂行したことを誇った。21得点、特にクラッチタイムに貴重な得点を固めたウィル・バートンも「ゲームプランを遂行したまでのことさ」と涼しい顔で語る。

もっとも、試合後のロッカールームは大いに盛り上がったようだ。マローンは「ホームで同じことをやるぞ!」と選手たちに檄を飛ばしたと明かす。中1日を挟んで、今度はデンバーでの迎えるウォリアーズとのリターンマッチが熱くなることは間違いない。