泉登翔「この3年生7人でバスケットができたことがすごくうれしい」
福岡大学附属大濠(福岡)は、開志国際(新潟)、インターハイ王者の中部大学第一(愛知)、ディフェンディングチャンピオンの仙台大学附属明成(宮城)といった強豪校を撃破して勝ち上がり、決勝ではインターハイ準優勝校の帝京長岡(新潟)を59-56で下して、28大会ぶり3回目となるウインターカップ優勝を成し遂げた。
大会ベスト5には、3年生の岩下准平、エースの湧川颯斗、ルーキーの川島悠翔が選ばれた。今年の大濠のスタメンは、3年生が岩下と泉登翔の2人のみで、あとは湧川と副島成翔が2年、川島が1年と下級生が多い。
そんなチームを引っ張ってきた岩下と泉は、試合終了のブザーが鳴ると熱い抱擁で勝利を喜んだ。その時の心境を泉は、こう明かした。「県大会の決勝戦が終わってから、(岩下と)2人で話す時間がすごく多かったですし、川島、湧川、副島をどう引っ張っていくのかを2人でずっとミーティングしていました。最後はそれを結構思い出したというか、溢れ出た瞬間でした」
もちろん、3年生は岩下と泉の2人だけではない。「大濠の3年生は7人しかいなくて少ないんですけど、その7人でいっぱいミーティングをしてきました」と泉は言う。目指すところは同じ『日本一』でも、7人もいればその過程をどう考えるかはそれぞれで、時には衝突することもあったという。それでも「僕ら3年生がまとまらないと下級生はついて来ない」という気持ちから「時間をかけて解決して、みんなで日本一に向かっていくためにまとまりました。僕はこの3年生7人でバスケットができたことがすごくうれしいですし、感謝しかない」と泉は語った。
その泉は決勝戦ではシュートタッチに苦しみ消極的になる場面も見られたが「クヨクヨしても仕方がないと思ったし、今まで練習してきた自信はあるし、誰よりも練習してきてシュートを打ち続けてきた」と言い、「シュートを打たないと自分の価値はないと思っているので、しっかりマインドを変えてシュートを打ち切って決め切ったことは自信になった」と振り返ったように、拮抗した試合終盤には3ポイントシュートとフリースローを決め切って勝利に貢献した。
「練習中から3年生は本当に頼もしい姿を見せてくれた」
そのチームを引っ張ってきた3年生の姿勢は、しっかりと下級生にも届いていた。大濠の大きな武器であるオールコートプレスのキーマンでもあり、得点源でもあった2年生の湧川は「3年生には本当に支えられてばっかりだった」と言い、感謝を語った。
「練習中から3年生主体でやっていて、先生が口出しするのは3年生がバラバラになりかけた時だけでした。練習中から3年生は本当に頼もしい姿を見せてくれたので、来年は自分たちの代になるので、その良い伝統というか、そこを引き継いでいきたいです」
「本当にこのチームは准平さんを始め3年生にリーダーシップがあって、3年生に支えられてきたので、この3年生と一緒に優勝できたことにうれしく思うし、来年は必ず2連覇したい。来年は自分が頼もしい存在になってこの舞台に戻ってきたいです」
主力の半分を下級生が務めたが、そのチームを引っ張ったのは岩下、泉をはじめとした3年生だ。チームを日本一へと導いた3年生の姿を見てきた湧川たちが、この伝統を受け継いでいく。