福岡大学附属大濠

帝京長岡はゾーンを攻めあぐね、大濠はブロックショット連発に阻まれる

ウインターカップ男子の決勝が行われ、福岡大学附属大濠(福岡)と帝京長岡(新潟)が激突した。

帝京長岡の強みは205cmのコネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメード。福岡第一との準決勝で24得点27リバウンドと大暴れしたハーメドへの対策で、大濠はいきなり2-3のゾーンディフェンスを敷く。ここから40分間を通じてダブルチームなどハメード対策は徹底していた。

序盤から両チームとも硬さが見られ、オフェンスよりもディフェンスが目立つ。川島悠翔のシュートとフリースローで大濠が先行するも、ハメードのブロックショット炸裂から速攻に転じて古川晟のシュートに繋いで追う。帝京長岡はゾーンを攻めあぐね、大濠は外からのシュートが入らないロースコアの立ち上がりとなった。

川島が個人ファウル2つでベンチに下がるも、副島成翔がハメードをマークして自由を与えない。ここから湧川颯斗、岩下准平と大濠の取るべき選手がジャンプシュートを決める。湧川は帝京長岡のインサイドをこじ開ける得点も挙げて14-9と第1クォーターを終え、第2クォーターの頭も岩下が3ポイントシュートを決めて、一度は主導権を握った。

ただ、帝京長岡はボールが回らずに攻めが停滞しているにもかかわらず、ここから粘りを見せる。ハメードの高さを封じられ、外のシュートも入らない状況でも丁寧なディフェンスを続け、ゴール下ではハメードが前半だけで6ブロックとリムプロテクターぶりを発揮。良いディフェンスから速攻に転じて得点を繋ぎ、箕輪武蔵がチーム13本目の3ポイントシュートを初めて決めて1点差まで詰め寄る。それでも大濠は岩下のミドルジャンパーで相手のランを切り、28-25とリードを保って前半を終えた。

後半最初は帝京長岡。縦へ走るスピードを上げてハメードがゴール下をこじ開け、古川晟の3ポイントシュートに箕輪の速攻の連続得点で一気に逆転する。しかし大濠も走り合いに応じ、泉登翔や森岡裕貴、川島が得点を繋ぐことで再び試合は拮抗した。

湧川颯斗

最後は2年生エースの湧川がねじ込んで決着、粘る帝京長岡を振り切る

43-41と大濠の2点リードで第4クォーターへ。両チームともに疲れが見えて得点が動かない重い展開の中、ハメードのフリースローとゴール下で帝京長岡が追い付けば、大濠はチームでオフェンスリバウンドを拾い、川島がハメードのプレッシャーをかわすゴール下の得点を挙げて突き放す。ここから両チームともスタミナが底を尽きかけているにもかかわらず攻守のギアを上げ、いきなり得点が動き出してリードチェンジを繰り返す攻防となった。

それでも1分半、岩下の3ポイントシュートで逆転に成功した大濠は、ハメードに入れるパスを狙ってスティールからの速攻に繋ぐ。ここで走った泉が巧みな動きでファウルを誘い、フリースローで57-54と差を広げた。その直後、コミュニケーションミスから初めてハメードを空けてしまい失点するも、タイムアウトを取って気持ちを切り替え、時間をたっぷり使って岩下がアタック。これはハメードのプレッシャーで外れたが、ここに飛び込んだ湧川がプットバックで押し込んで59-56、決定的な得点を奪った。

ハメードはこの試合でも19得点20リバウンド、さらには9ブロックと大活躍したが、勝利には届かず。ただ彼はまだ2年生で、ゴール下のシュート技術を磨けばまだいくらでも得点は伸ばせるに違いない。大濠では1年生の川島がチームハイの15得点、岩下が13得点、湧川が12得点、ベンチから出た森岡がフィールドゴール6本中5本成功の10得点を挙げ、リバウンドではハメードを擁する帝京長岡の51本に対し50本と引けを取らなかった。他にもスタッツには残らないがハメード相手にタフに戦い続けた副島、持ち味のシュートは決まらなかったが攻守にチームを支えた泉と、まさにチーム一丸の勝利だった。

1回戦から開志国際、3回戦でインターハイ王者の中部第一、準決勝では前年王者の明成と、過酷なトーナメントの山を勝ち上がった大濠が、3度目のウインターカップ制覇を成し遂げた。