Bリーグの優勝争いに直接的な影響に与える唯一無二の存在に
千葉ジェッツにプロ契約で加入した東海大4年生の大倉颯太は、今節のサンロッカーズ渋谷戦で早速ベンチ入りを果たし、2試合ともに出場した。大倉は過去2シーズン特別指定で千葉に在籍しており、その時から指揮官、中心メンバーの大半は変わっていない。チームにもすぐにフィットしやすい状況であり、何よりも大倉の非凡な才能を考えれば、いきなり起用されたことにも驚きはない。
とはいえ、今の大倉は昨年2月に負った前十字靭帯断裂の大怪我から10月末に実戦復帰したばかり。そこからインカレのタフな日程を終えての千葉合流であり、少なくとも年内はコンディション調整の段階で短いプレータイムに留まるかと思えた。実際、25日は5分41秒の出場時間だったが、26日は序盤から劣勢に立たされたチームの中で攻守に渡って自分の仕事をしっかり遂行し、14分35秒の出場で7得点2アシスト1スティールと、いきなり主力級のパフォーマンスを見せた。
特質すべきは第4クォーター残り5分の勝負どころで使われたこと。直後に速攻からシュートに持ち込んで相手のアンスポーツマンライクファウルを誘発し、16点のビハインドを残り2分半で6点差まで縮める原動力となった。
「昨日できていたディフェンスのインテンシティやエナジーを出せなかった時にオフェンスの流れも悪くなり、相手のやりたいことをやらせてしまいました。それでリズムをつかめなくなって、取り返しのつかないリードを奪われた。昨日とは違う展開になり、それにアジャストできずにズルズルやられてしまった印象です」
大倉は82-91で敗れ、連勝を逃した26日の一戦をこう振り返る。そして期間限定の在籍だった特別指定の過去2年と違い、プロ契約を結んで千葉の一員としてシーズン終了まで戦うことになる意気込みを語る。
「今週はそこまで出るのか分からないと言われていましたが、準備はしていました。流れが悪い時間帯だったりで、僕にやれること、僕にしかできないことがあると思っています。ルーキーだからとではなく、一つのピースとして優勝するために来ました」
「ルーキーとか関係なく、勝つためにやらないといけないことをやるだけ」
来シーズン以降に活躍するため経験を積む、といった思いは大倉にはない。彼が考えるのはあくまで今シーズン、即戦力としてチームにいかに貢献できるか。そして「優勝するために来ました」が大言壮語でないことをプレーで証明している。
だからこそ26日、試合残り5分からの勝負どころでコートに立ったことについても「いつ起用されても大丈夫なように準備はしているので、驚きはなかったです。勝つために何をするのか。ルーキーとか関係なく、勝つためにやらないといけないことをやるだけです」と平然としていた。
いずれは千葉の中心選手になるつもりだが、途中合流となる今のチームの中ではサポート役こそが自分の担うべき仕事であり、自分にやれることを具体的にこうとらえている。
「ディフェンスのインテンシティに加え、ベンチからのスタートで、ゲームの流れを見ることができます。オフェンス、ディフェンスともに悪いところを良くしていくためのロールプレイヤーになり、ボールハンドリング、スペーシングなどでチームのためにどう動くのか、ベンチから見て判断して試合で遂行していきたいです」
今節、インカレを終えた複数の現役大学生がBリーグの舞台に立ち、その数はこれからさらに増えていく。その全員が将来楽しみなポテンシャルを持っているが、その中でBリーグの優勝争いに直接的な影響に与える唯一無二の存在が大倉だ。
彼は一つのピースではなく、千葉のリーグ連覇に向けたラストピースとなれることを示した。試合には敗れたが、大倉の期待感をより高めるパフォーマンスは、千葉ファンにとって1日遅れの大きなクリスマスプレゼントになったはずだ。