エナジー全開のSR渋谷、最後は高確率のフリースローで千葉を振り切る
12月26日、サンロッカーズ渋谷が本拠地で千葉ジェッツと対戦した。エースのベンドラメ礼生が33得点と大暴れし、チームの根幹であるリバウンド、ルーズボールなど球際の執着心であるべき姿を取り戻して91-82と勝利。連敗を4で止めるとともに、36点差と大敗した前日のリベンジを果たした。
ティップオフ直後からSR渋谷はエネジー全開の激しいプレッシャーをかけて千葉のターンオーバーを続けて誘発し、10-2と先行する。千葉もすぐに応戦するが、SR渋谷は終盤に田渡修人が連続でアウトサイドシュートを沈め、25-17と先行した。
第2クォーターに入ると、千葉も持ち味のトランジションが増えてギャビン・エドワーズの得点で肉薄する。しかし、SR渋谷はリードが4点に縮まったところからベンドラメ礼生が連続3ポイントシュート成功で悪い流れを切る。ジェームズ・マイケル・マカドゥが、このクォーターだけで3ブロックとゴール下を抑えてディフェンスを立て直すと、盛實海翔も得意のステップバックを含む3ポイントシュートを2本成功させ、SR渋谷がリードを13点に広げて前半を終えた。
後半、千葉は今節からチームに合流した大倉颯太の貢献もあって、本来の強度の高いディフェンスで反撃を開始。第3クォーター残り6分には6点差にまで追い上げる。しかし、SR渋谷はここからマカドゥがインサイドでの粘り強いアタックで得点を重ねて再び2桁リードに戻す。
第4クォーターに入っても、渋谷はリーグ随一のインサイド陣を誇る千葉とゴール下の攻防で互角に渡り合うことで主導権をキープ。さらにオフィシャルタイムアウト明け、最初のポゼッションで渡辺竜之佑が前からプレッシャーをかけて8秒バイオレーションのターンオーバーを奪取。直後のポゼッションでマカドゥが決め、残り4分46秒で84-68と大きく突き放した。
これでSR渋谷が一気に押し切るかと思われたが、王者の意地を見せる千葉は残り2分半に再び6点にまで詰める。だが、SR渋谷は最後までアグレッシブな姿勢を貫いたことでフリースローを獲得し、このクォーター16本中15本成功と確実に決めることで千葉を振り切った。
「何よりも選手のプライドを見られた気がしました」
SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは「昨日、全く歯が立たなかった東のトップの千葉さんを相手に、連敗脱出は大きな1勝です」と安堵の表情を見せ、「戦術をちょっとだけイジり、それを選手たちが遂行してくれました」と続ける。この修正とはクリストファー・スミス、佐藤卓磨の3ポイントシュート対策で「昨日も警戒していて、僕の指示通りに守ってくれましたが、それでもやられてしまいました」と語るように前日は2人合わせて3ポイントシュート9本中6本成功と高確率で沈められ、合計で30得点を奪われていた。
それが今日は2人に対し、3ポイントシュートだけは打たれないようにとプレッシャーをさらに強めた。「全部を守ろうとしたら、全部でやられてしまう。ビッグマンにやられてしまうのは仕方がない」と割り切った結果、エドワーズには4本中3本成功と決められるが、スミスと佐藤は合計で5本中成功なし、2人合わせて9得点と抑え込んだ。
指揮官は「何よりも選手のプライドを見られた気がしました」と、メンタルの重要性を再認識している。「昨日はチーム全員で負けて、今日はチーム全員で勝てた。どっちにも転ぶ不安定なチームでしたが。気持ちのところも大事にしてしっかりやっていこうと思える試合だったと思います」
今節のSR渋谷は、自分たちの伸び代ともろさをこれ以上のないくらい大きな振り幅で経験することになった。ただ、大黒柱のライアン・ケリーを欠き、前日に36点差のショッキングな大敗を喫した後でのカムバックは、このチームが頂点を狙える可能性を秘めていることを示している。このポジティブな兆しを、人数制限がなくなって活気を取り戻しつつあるホームゲームで示せたのは大きな意味を持っている。