EASL(東アジアスーパーリーグ)はFIBA(国際バスケットボール連盟)と10年間の提携を結び、東アジアの各国上位チームを集めてアジアのクラブNo.1を決める大会を今秋からスタートさせる。EASLはこれまで、その準備のためにシーズンオフに大会を開いてきた。直近の2年は新型コロナウイルスのパンデミックにより開催されなかったが、2019年夏にマカオで行われた大会には日本、中国、韓国、フィリピン、チャイニーズタイペイのトップクラブが参加。今回、満を持して公式大会となる。EASLのマット・ベイヤーCEOとBリーグの島田慎二チェアマンに、この大会がスタートする意義と期待を語ってもらった。
島田慎二チェアマン「アジアに、世界に繋がるような道筋を作る構想を支持」
──2019年にマカオで大会が行われた時、島田チェアマンは当時は千葉ジェッツの代表として現地に行かれたと思います。当時はまだプレシーズンの大会で、公式大会としての構想は定まっていませんでしたが、どのように受け止めていましたか?
島田 千葉ジェッツ時代にああいう大会に参加して、EASLの皆さんにもかなり早い段階でお会いしています。大枠の構想を聞いて、あの段階では夢物語のようなものだったのが、相当な年月はかかりましたがここまで具体的になりました。各国を調整して実現させたベイヤーさんの手腕はすごいと思います。
ベイヤー 2017年にマカオで開催した『THE SUPER8』の優勝チームが千葉ジェッツで、我々は千葉ジェッツにリスペクトを持ってお付き合いしてきました。その前後から島田さんとはメールのやり取りを始めています。もともと私には明確な構想がありましたが、各国との調整、FIBAとの10年契約を含めて舞台裏ではいろんな動きがあり、表に出せる情報が少なかったので、EASLのコンセプトが曖昧と感じた方もいたかもしれません。今回のEASLの実現も島田さんやBリーグのサポートがあってこそだと思っています。皆さん2017年の時点からずっと我々と一緒にやってきてくれました。
──各国との調整の中でも、一番大変だったのはスケジュールのすり合わせだと思います。
ベイヤー やはりスケジュールを合わせるのは大変でしたが、Bリーグが国内だけでも本当に忙しい状況で、我々の要望に合わせたスケジュールを組んでくれたことは、文化も運営スタイルも違う中でもお互いに信頼関係があり、パートナーだと思う信頼関係があったからだと思います。
島田 スケジュールが一番厳しいですよね。レギュラーシーズンが60試合、そしてチャンピオンシップがあり、さらに代表のゲームも入るので相当タイトになります。しかし、クラブとしてアジアに、世界に繋がるような道筋を作る構想については全面的に支持していました。スケジュールを合わせる苦労はありましたが、EASL側にも他国の皆さんにも、試合数が多い日本の特殊な事情を理解していただいて、根気強く対応してもらったことに感謝しています。
──Bリーグの各クラブは、EASLのスタートをどのように受け止めていますか?
島田 スタートラインはB1とB2で36クラブあるうちの上位2チームの参加で、今後見込まれる大会規模の拡大があっても4チームしかアジアの舞台には行けないので、今の段階ではトップを狙うクラブしかそこに参加できるイメージは湧いてないと思います。ですが、それ以外のチームも反対ではなく「いずれ自分たちもそういう大会に出られるようになりたい」と思っていて、全体的にポジティブだと私は理解しています。リーグ内でもそういう議論をしてきました。
ベイヤー 3シーズン目からは参加チームを16に拡大する方針を発表していますが、これは中国からのチームが増えることが中心になります。最初の2シーズンがBリーグに評価されて、パートナーシップをどう発展させるかの話し合いで「すごく良い大会だから4チーム出したい」と言ってもらえるようであれば理想的ですね。
マット・ベイヤーCEO「海外のチームとの真剣勝負が日本バスケの発展に繋がる」
──EASLがスタートし、参加チームが増えることで、過密日程による選手のケガが心配されます。その点はどう考えますか?
島田 リーグ戦の試合数がそもそも多く、そこに日本代表のスケジュールも入ってくるので、ケガ人が多いという印象を持たれているのかと思います。選手のコンディションを心配する声がある一方で、日本の選手はもっともっとタフにならなければならない。日本代表はアジアの選手と戦って勝っていかなければいけない。クラブもアジアで真剣勝負をする、異国のアウェーの環境で戦い抜くタフさは、こういう大会でしか味わえません。もちろん、メリットもデメリットもありますが、メリットは最大化して、デメリットは最小化する、トレーナーの充実やケアのレベルを上げていくことで、そういう大会を戦い抜ける対応を作り上げていく。私はそちらのスタンスを取ります。
ベイヤー EASLが始まると年間に6~8試合が増えます。試合数の増加はそこまで多くはありません。日本代表でアジアでの戦いはありますが、残念ながらそこに参加できる選手の数は限られています。EASLは今後、アジアから新しいスター選手を生み出します。海外のチームと真剣勝負ができる、大舞台に立てることは、日本のバスケの発展に繋がると思っています。
島田 日本からの参加チームが2から4に増えたとしても、日程的なものが変わるわけではありません。いずれにしてもポジティブに、一緒になって大会を盛り上げていきたいという気持ちで、前向きにやっていきます。
──EASLに期待する日本のバスケファンにメッセージをお願いします。
ベイヤー アジアには17億人のバスケファンがいます。そういった数字を考えると、まさにこれから新しい体験尽くしになるはずです。試合会場で観戦できるのが一番良いですが、自宅のテレビで見る、それだけでなく様々なコンテンツを配信していきます。それを通じて日本の選手が現地に行っていろんな体験をする、交流をすることも含めて、皆さんが楽しめるものを作っていくつもりです。我々は皆さんに新鮮な驚きを提供したいと思っています。是非、期待してください。