ジャ・モラント

「MVPチャントをしてくれたファンからそんなことを言われるとは……」

現地12月20日、グリズリーズのジャ・モラントがホームでのサンダー戦で左膝のケガから約4週間ぶりに復帰し、16得点6リバウンド8アシスト2スティールという上々のパフォーマンスを披露した。

試合はサンダーが終盤にシェイ・ギルジャス・アレクサンダーとジョシュ・ギディーの得点で逆転し、グリズリーズは99-102で惜しくも敗れた。しかし、ウォリアーズ、サンズ、レイカーズ、ネッツら強豪との試合が続くタイミングで、13試合ぶりにエースが復帰したのは朗報だ。

ただ、絶対的なエースであるはずのモラントが欠場していた間、タイアス・ジョーンズが司令塔としてバランスアタックを実現し、ディロン・ブルックスとデズモンド・ベイン、ジャレン・ジャクソンJr.と取るべき選手が得点を伸ばすことで、チームは11勝2敗と勝率を大いに伸ばした。このことから、モラント不在でもチームとして機能する、との意見も出ている。

それに加えて、下位に沈むサンダーを相手に前半リードしながら突き放すことができず、終盤までもつれる煮え切らない試合展開。そこでモラントはコートサイドのファンから思わぬ言葉を掛けられた。

「あるファンから『もう少し休んでいたら?』と言われたんだ」とモラントは試合後の会見で言う。「腹が立った。自分でも意識していた部分はあったんだ。バスケットボールは僕にとって気持ちを切り替えられる場所、心を落ち着けられる場所であり、いつだってプレーしている時は気分が最高なんだ。それなのに、今夜の試合ではファンの言葉で気持ちが落ちてしまった」

モラントの最大の魅力は強気の攻めの姿勢だ。NBAデビュー以来、彼は「自分が引っ張らなければいけない」という責任感から常にその姿勢を貫き、グリズリーズに勝利をもたらしてきた。ケガは治っても、メンタルはまだ疲弊しているのかもしれない。モラントは「少し前までMVPチャントをしてくれたファンからそんなことを言われるとは思ってもみなかったよ」と肩を落とした。

インターネット上にはさらに手厳しいモラント不要論まで出ている。しかし、チームメートのデズモンド・ベインは、モラントへの批判を「ナンセンス」と一蹴している。「このチームを代表する選手はジャなんだ。みんな誰かを槍玉に挙げたいだけ。ジャはチームのベストプレーヤーだから、手っ取り早い標的になってしまう」

NBA選手ともなれば批判からは逃れられない。とはいえ、復帰戦で上々のプレーをしていたエースに、あろうことかホームのファンが浴びせる類の言葉ではないのは確かだ。プレーで結果を出していけば気持ちもいずれ上向くに違いない。本来の強気の姿勢を取り戻せば、ファンも考えをあらためるはずだ。