ダニー・グリーン

「僕たちは彼の気持ちが変わるようにできることをやった」

獲得を狙う複数のチームの名前こそ噂されるものの、セブンティシクサーズは『ベン・シモンズ問題』の着地点を見い出せていない。

球団に不信感しか持っていないシモンズは、精神面の不調を理由に欠場を続けている。そしてGMのダリル・モーリーも、シモンズの価値に見合う条件しか飲まない姿勢を明確にしているのだが、シーズン中にオールスタークラスの選手同士のトレード成立は非常に珍しく、今シーズン中に解決することはなく平行線状態が続く可能性もある。

そんな中、シクサーズのベテランであり、オフの時点からシモンズの気持ちを解こうと尽力してきたダニー・グリーンが、自身のポッドキャスト番組『Green Room Podcast』でこの問題について言及している。グリーンらシクサーズの主力は、口を揃えてシモンズを「優勝に必要な戦力」とコメントしてきた。グリーンによれば、シモンズが渋々ながらもチームに合流した当初は、全員で快く歓迎するつもりだったという。

「当初、僕たちは彼を受け入れるつもりだった。彼は兄弟であり、家族のような存在だし、チームの一員としてやってもらいたかった。彼がいれば優勝できる可能性が生まれる。それが最初のアプローチの仕方で、彼も同じように思ってくれていたら良かった。僕たちは彼の気持ちが変わるようにできることをやった。それでも彼の考えは変わらなかった。そうなると、兄弟、そして家族同然の僕たちでも、『分かったよ。君にとっても球団にとってもプラスになるベストな形を探ろう』となってしまう」

グリーンは「けれど、そういう話にはなっていない」と続ける。「すべては仮定の話で、もし特定の状況になれば解決法を見い出せるかもしれないという状態。当然だけど、球団は彼がコート上でチームにもたらすものと同等のリターンを求める。それは決して簡単な話ではないんだ」

「彼は特別な選手で、稀に見る才能の持ち主。良い面も悪い面も意見は様々あるとしても、彼は非常に優秀な選手で、彼の代わりを見つけるのは簡単ではない。彼のようなプレーが可能な選手は、NBAにもそう多くいない。だからこそ球団は多くの見返りを求めてしまう。そして決断がより難しくなってしまう。彼の代わりを見つけるのは大変なんだ」

グリーンの主張は理路整然としており、シモンズも球団も一切譲歩していないことが最大の障壁になっている。果たしてシクサーズは、来年2月のトレードデッドラインまでに双方の思惑が合致する話をまとめられるのか、『シモンズ問題』の結論が出るまでには、今しばらくの時間が必要だ。