指揮官テーブス「今シーズン初めて、40分間同じ質のプレーを続けられた」
第88回皇后杯、ベスト8で富士通レッドウェーブがトヨタ自動車アンテロープスに62-55で勝利。昨シーズンのWリーグ王者を撃破し、3大会ぶりのベスト4進出を決めている。
試合の立ち上がり、富士通はトヨタ自動車のディフェンスの圧力に負け、オフェンスでタフショットを打たされ続けてシュートが全く入らない。ただ、自分たちもディフェンスで耐え、第1クォーターは5−15と大崩れすることなく踏み留まった。そして第2クォーターに入ると、町田瑠唯が3ポイントシュートにドライブと自ら積極的に攻め、このクォーターだけで12得点を記録。大黒柱がさすがのプレーを見せて、2点差にまで追い上げる。
第3クォーター、富士通はトヨタ自動車に計7本のオフェンスリバウンドを取られてしまうが、そこからゴール下でタフに守り続けセカンドチャンスからの得点を防ぐ粘り強さを見せる。トヨタ自動車の決定力不足に助けられた面もあるが、このクォーターで相手のフィールドゴールを18本中3本成功に抑え込み、さらに6つのターンオーバーを誘発する。オフェンスでは篠崎澪、オコエ桃仁花が相手ディフェンスのズレを突くゴール下へのアタックを効果的に繰り出し、第3クォーターを14-7として逆転に成功した。
第4クォーターに入ってもトヨタ自動車のシュートタッチは改善しない。一方の富士通は篠崎、オコエが引き続き好調をキープし、残り3分には篠崎の3ポイントシュートでリードを2桁に広げる。その後も指揮官のBTテーブスが「正直、ゲームプラン通りで特にディフェンスで上手くいったと思います。今シーズン初めて、40分間同じ質のプレーを続けられました」と試合後に振り返ったように最後まで守備のインテンシティが落ちなかった富士通が危なげない試合運びで逃げ切った。
「私の役割であるアタックを、入っても入らなくてもとにかく続けました」
この試合、富士通は町田がともにゲームハイの17得点6アシストに4リバウンド2スティールを記録。そしてともに前半は不発だった篠崎、オコエが揃って後半に本領発揮と15得点で続いたのが大きかった。
後半、得意のドライブを何度も仕掛けることでオフェンスのリズムを作り出した篠崎は、自身のプレーをこう振り返る。「前半は2点しか取っていなくて、町田のアタックに頼りきりになっていました。ハーフタイムにBTから『1人に頼っていてはダメだ』という言葉もあり、しっかり私の役割であるアタックを、入っても入らなくてもとにかく続けました」
勝因については、ディフェンスを強調する。「出だしに得点が伸びず苦しい時間がありましたが、ディフェンスで粘ってリバウンドを取り切る。我慢することで自分たちのペースに持っていけました。そこは去年に比べると成長した部分だと思います」
この守備力アップは、今シーズンの富士通の大きな特徴となっている。それは「今年は加入した2人の影響によって、リバウンドの意識が全然、違います」と指揮官が言う新戦力の宮澤夕貴、中村優花の存在が大きい。この試合、宮澤は2得点、中村は3得点に留まったが、宮澤は11リバウンド4ブロック、中村は7リバウンド2スティールを記録している。
篠崎も宮澤、中村のもたらす効果を語る。「移籍の2人が引っ張ってくれ、それに他の選手も感化されることで、リバウンドを全員で取る意識ができていると思います」
ベスト4の相手はデンソーアイリスとなる。2017年以来の決勝進出を果たすためには、次の試合も髙田真希、赤穂ひまわりの日本代表コンビを相手にいかにリバウンドを取れるかが大きな鍵となる。それができれば「相手がやってきたことに対してアジャストする。そして、自分たちの武器であるハードなディフェンスから速い展開にもっていけるようにしていきたいです」と篠崎が語る流れに持っていけるはずだ。
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