「いつも通り自分たちがやれれば普通に勝てると思って試合に臨みました」
第88回皇后杯のファイナルラウンドが12月15日からスタートし、ベスト8でENEOSサンフワラーズがシャンソン化粧品シャンソンVマジックに92-64と圧勝した。46年連続となるベスト4進出を決め、大会9連覇まであと2勝としている。
この両チームは約1カ月前にWリーグで対戦している。その時は初戦をシャンソンが80-76、2試合目をENEOSが80-61して、1勝1敗に終わっていた。シャンソンが勝った1試合目は、第1クォーターで32-18と大きく突き放したのが勝因となっており、立ち上がりが大きな鍵となるのは明らかだった。
そんな中、ENEOSは立ち上がりに岡本彩也花が連続3ポイントシュートを成功させると、さらにリバウンドからのトランジションで渡嘉敷来夢、梅沢カディシャ樹奈がゴール下でイージーシュートを決める得意の展開で16-2と先手を取る。だが、シャンソンも第2クォーターに入ると司令塔の小池遥を起点に内と外からバランスよく加点。渡嘉敷がベンチに下がっている間にリバウンドで優位に立ったことも大きく、ENEOSの46-40と点差を縮めて前半を終える。
しかし、後半に入るとすぐにENEOSは渡嘉敷の連続得点でリードを2桁に戻す。これでディフェンスがインサイドにより意識を向けざるを得ない状況に持ち込むと、ここから林咲希と岡本による3連続3ポイントシュート、その後は再び渡嘉敷と梅沢のインサイドと、的を絞らせない理想的なオフェンスを展開。第3クォーターを32-16と圧倒し、22点の大量リードを奪って早々に勝負を決めた。
ENEOS快勝の立役者となった渡嘉敷は、26分48秒の出場で30得点7リバウンド3アシストを記録。「リーグ戦から大会までの2週間、しっかり準備してきたことが出せた」と振り返り、シャンソンにリーグ戦で負けていることは気にならなかったと続ける。
そこには勝ち続けてきた女王としての強い矜恃がある。「一度負けた相手には絶対に2度、3度負けないので、意識はしなかったです。そして2週間しっかりと準備できていたので、そこが自信になっていました。いつも通り自分たちがやれれば普通に勝てると思って試合に臨みました」
1年前に大ケガを負った皇后杯ベスト8、代々木第二で最高のパフォーマンス
ちょうど1年前、今回と同じ皇后杯のベスト8で渡嘉敷は右膝前十字靭帯断裂の重傷を負い、東京オリンピックの出場を見送る結果となってしまった。あの一戦以来となる代々木第二体育館のコートに立ったことへの思いを語る。
「去年ここでケガをしているので、すごく緊張はしていました。でも去年は去年、今年は今年なのでいざコートに立つとそんなに気にならなかったです。いつも通りだったと思います」
そして、今年は最後までエースとしてチームを牽引して優勝することへの強いこだわりを明かす。「去年はファイナルラウンドの初戦、開始6分くらいでコートを離れてしまいました。チームの優勝はうれしかったですが、自分がコートに立てない悔しさも強かったです。今年はコートに立ち続けて優勝したいと思って大会に入りました」
「代々木にはいろいろな思い出があります」と渡嘉敷は言う。それでも今は新たな勝利の思い出を増やすことしか考えていない。17日、ベスト4で激突するのはトヨタ紡織だ。
「紡織さんとはリーグ戦でいい試合でした。前半を0点で終わった試合もあるので、今回は積極的に攻めます。守りに入らず自分たちのバスケをやって必ず勝ちます。決勝の舞台に上がれるように頑張ります」
このように闘志を燃やす渡嘉敷が、今回のようなパフォーマンスを見せれば、ENEOSの優勝は間違いないはずだ。