第3クォーター最後の9-0のランが逆転劇を呼び込む
宇都宮ブレックスがホームにリーグ首位の琉球ゴールデンキングスを迎えた一戦。平均失点で宇都宮がリーグ1位、琉球がリーグ3位と、互いにディフェンスを持ち味とするチーム同士の対戦は当然のように壮絶な守り合いとなった。
最初に主導権を握ったのは第1クォーターを3点リードで終えたホームの宇都宮だった。互いにインサイドの肉弾戦で譲らず、ゴール下のシュートがほとんど決まらない状態の中、トランジションから渡邉裕規が3ポイントシュートを射抜き、わずかな隙を突いて比江島慎が個人技で打開した。
宇都宮はオールコートのゾーンを併用するなど琉球のリズムを崩すと、素早いローテーションやダブルチームで抑えどころを抑えつつ、確率の低いシュートを選択させた。その結果、琉球のフィールドゴールを15本中1本のみの成功(6.7%)とシャットアウトし、このクォーターを12-5で終えた。
32-22で迎えた後半も宇都宮のペースが続く。今村佳太のドライブを止められずに失点頻度が増したが、シュートファウルを獲得して確実に加点し、得意の速攻も生まれるなど、得点ペースが落ちなかった。そして、残り約2分にはセカンドチャンスからテーブス海の3ポイントシュートが決まり、この試合最大となる17点のリードを奪った。
この時点で百戦錬磨の宇都宮が試合を支配するかに思われたが、琉球はここからセカンドユニットの力で巻き返す。コー・フリッピンがディープスリーを決めて悪い流れを断ち切ると、小寺ハミルトンゲイリーが速攻のこぼれ球を押し込み、アレン・ダーラムも強靭な肉体を生かしたパワープレーでスコアした。そして、24秒バイオレーションを奪うなどディフェンスも活性化した琉球は、ダーラムのインサイドプレーで締め、9-0と走って望みを繋いだ。
ダーラム「全員あきらめずに攻め続けたことが勝利に繋がった」
最終クォーター序盤、ファーストプレーで比江島が3ポイントシュートを沈めたことで再び宇都宮が落ち着くかに思われた。それでも、崩し切れずにショットクロックが少なくなった場面で、フリッピンと今村が3ポイントシュートを成功させるなど、琉球もタフショットを決め返すことで食らいついていく。
宇都宮が決してロングレンジのシュートを得意としていない竹内公輔が3ポイントシュートを決めて会場を沸かせたと思えば、琉球もハミルトンゲイリーが今シーズン初めての3ポイントシュートを成功させて一歩も引かず、接戦が終盤まで続いた。
すでにチームファウルが4に到達している宇都宮に対し、インサイドで優位に立つ琉球はドウェイン・エバンスとダーラムがポストプレーでスコアしていく。2、3ポゼッションから先が遠かったが、ようやく背中をとらえると、エバンスがオフェンスリバウンドからゴール下をねじ込み、残り33秒で64-65と1点差に迫った。その後、時間を進められながらも宇都宮の攻撃を凌ぎきった琉球は、フリッピンがボールをプッシュして逆転のレイアップを狙うもジョシュ・スコットのブロックに阻まれてしまう。さらに残り2.6秒からのエンドインバウンズで今村のミドルシュートをメークするも、再びスコットのブロックに遭った。そして、残り時間はキャッチ&シュートがギリギリ間に合うかどうかの0.9秒だったが、リング付近に放ったロブパスをダーラムが空中でキャッチし、そのまま押し込んで66-65の逆転勝利を飾った。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは「自分たちが用意してきたことがあまり表現できないカオスの中、選手たちが自分たちの強みを生かしハードワークしてくれたので勝利に繋がったと思います」とコメント。また、ラストプレーについては「持っているプレー」と明かし、練習通りのプレーで価値ある勝利を手にした。
殊勲の決勝ゴールを決めたダーラムは「前半はなかなか私たちのバスケットボールができなかったですが、全員あきらめずに攻め続けたことが勝利に繋がったと思います。後半の入りで勢いが足りず、もっとハードに行くことを意識し、うまく実ったと思います」と試合を振り返った。