八村塁

文=丸山素行 写真=鈴木栄一

「チームとも合ってきて、僕のプレーもできている」

ワールドカップ2次予選、イラン戦に臨んだ男子日本代表は70-56の逆転勝利を収めた。

ゲームハイの25得点7リバウンドと期待通りの活躍を披露した八村は「大事な試合で、世界大会に行くためにはこの2つの試合に勝たなきゃいけなかった。チームメートもそうですけど、スタッフも観客も一丸で勝てたので本当にうれしいです」と勝利という結果を残し、喜びを表した。

13日のカザフスタン戦は個人技での打開が多く、決してチームとして機能しているとは言い難かった。だが今回はボールと人が動き、流れの中からスコアするシーンが多く見られ、八村も「チームともどんどん合ってきて、僕のプレーもできているので、やっていてすごく楽しい」とやりやすさを感じている。

ピック&ロールからズレを作りだし、ズレができるまで何度もオフェンスを再構築するなど、オフェンス面の向上が目立ったが、八村はコミュニケーションの強化が良い効果をもたらしたと言う。「練習だけでもないですけど、コート外でもコミュニケーションを取っています。その中でこういうのが1試合でもすぐに出ることはすごく良いことだと思います」

渡邊雄太は八村に次ぐ18得点を挙げた。結果だけを見れば、八村と渡邊の2人のチームのように映る。だが八村はそれを否定し、チーム力の高さを訴えた。「僕もそうですし、オフェンスもディフェンスも(両方)できる選手がいます。そういう選手がいっぱいいる中で、それが一つの力になってそうなったと思います」

八村塁

結果を出し、東京オリンピックへ

14点差の快勝を収めた日本だが、試合序盤はイランの高確率な3ポイントシュートに手を焼き、一時は10点のビハインドを背負った。それでも八村はイランの3ポイントシュート確率がこのまま続かないことを見越し、焦りはなかったという。「イランは最初はすごいシュートが入っていました。試合ではそういうことも結構ありますし、そういう予想はしてました。チームのディフェンスとしては機能してましたし、後半から落ちてくるなと思ってましたね」

八村が「機能していた」と言うように、日本は後半のイランの得点をわずか21点に封じた。イランの高いシュート確率に苦しみながらも、前半を4点差で終えた我慢が後半の逆転勝利を呼び込んだ。

これで八村が加わってからの日本代表は4連勝を記録し、崖っぷちから勝率5割復帰を果たした。そして、フィリピンの結果次第で変わるが、2次予選突破ラインとなるグループ3位に浮上した。東京オリンピックの自国開催枠を持っていない日本にとって、ワールドカップで結果を残すことが求められる。

そして八村はあらためて今日の勝利を噛み締めた。「世界大会に直接つながる試合だったので、みんなで勝てて本当に良かったと思っています。みんな一丸でやって、このまま東京オリンピックまで行きたいと思います」