文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

ブラウンがミスマッチを突き、試合序盤にゾーンを攻略

サンロッカーズ渋谷がホームアリーナの青山学院記念館に富山グラウジーズを迎えた。

立ち上がり、SR渋谷が猛攻を仕掛ける。富山のゾーンディフェンスを、高さの優位があるインサイドにどんどんボールを入れることで攻略。2014年まで富山に在籍したアイラ・ブラウンが強烈な「恩返し」で得点を量産し、第1クォーター残り4分47秒の時点で自身の得点を2桁に乗せ、18-6と大量リードを奪う。

いきなりの劣勢となった富山は、インサイドで競り負けていたサム・ウィラードに代えてアール・バロンを投入。そのバロンがすぐにペイント内でジャンプシュートを決め、守りに転じては連続でリバウンドを確保。さらには3ポイントシュートまで決め11-18、SR渋谷に傾いた流れを引き戻す。

しかし、バロンに押されまくっていた満原優樹がここで踏ん張り、ペイント内に入れさせず難しいミドルシュートを選択させて勢いを止めると、再び流れはSR渋谷に。アキ・チェンバースのこの試合2本目の3ポイントシュート、満原からブラウンへのアリウープで23-11として第1クォーターを終えた。

両チームとも外国人選手オンザコート「1」を選択した第1クォーター。帰化選手のブラウンと208cmのアールティ・グインを同時に使えるSR渋谷が高さで圧倒する結果に。オンザコート「2」の第2クォーター、ウィラードとバロンの同時起用で巻き返したい富山だが、そのバロンがブラウンと交錯して負傷し、プレー続行不能となってしまう。

その状況でSR渋谷は高さとパワーで押すのではなく、自分たちが目指す素早い切り替え、よく走りボールも回るバスケットを展開。40-22とリードを広げて第2クォーターを終える。

SR渋谷はケガ人を除く11人が出場、全員バスケで勝利

後半、富山は何とか流れを変えようとベテランの宮永雄太を投入したり、城宝匡史が様々な攻め手を試みるも、攻撃は散発に終わり劣勢を覆すには至らず。前半はインサイドのパワー勝負に押し負けていたウィラードにようやく当たりが出始めるも、ドリュー・ヴァイニーが欠場、バロンまでケガで退いたとなっては打つ手がなかった。

第4クォーター残り2分25秒では、ファストブレイクからブラウンのトマホークダンクが飛び出し、青山学院記念館を埋めた2503人の観客がSR渋谷の勝利を確信。最終的に76-52と大差を付けてSR渋谷が連勝を飾った。

富山のヘッドコーチ、ボブ・ナッシュは「ゲームの入りを良くしようと臨んだが、カットやディフェンスのプレッシャーなど相手が強いプレーをやってきて流れを作れなかった」と第1クォーターの展開を悔やんだ。

勝ったSR渋谷のBTテーブスヘッドコーチは「ターンオーバーが20と多かったのは修正しなければならない。次の川崎相手にこんなにミスが多かったら試合にならない」と反省しながらも、「これまでにない速い展開のプレーを選手には求めている」と、果敢にチャレンジする姿勢は評価。「ベンチスタートの選手もスタメン以上にエネルギッシュにプレーしてくれた。激しくディフェンスし、よく走りよくボールが回るウチのバスケットは、7人か8人ではできないものだから」と、チーム全体が好調を維持していることに手応えを感じていた。

記念すべきホーム開幕節を連勝で飾ったSR渋谷は次節、4連勝と波に乗るNBL王者の川崎ブレイブサンダースと対戦。富山はホームに戻り、横浜ビー・コルセアーズを迎える。