ベンドラメ礼生

「スピードを生かしてプレーしようと練習に取り組んでいます」

ベンドラメ礼生は日本代表に飢え続けている。トップレベルでプレーする選手なら誰しも日本代表を目指すものだろうが、彼はずっと本気で日本代表入りに挑戦し、何度跳ね返されても立ち向かい、東京オリンピックの登録メンバー12人に入った。だが、チームは1勝を挙げられず、ベンドラメにとっては十分なプレータイムが与えられないまま大会は終わってしまった。

今シーズン始動の時点で彼は「13人目から12人目にはなれたけど、そこまでの選手だったと自分の中で落とし込まないといけない」とオリンピックでの自分を総括し、「正直ちょっとバスケから離れたい気持ちはありました」と言いながらも、気持ちを切り替えて新たなシーズンを迎え、トム・ホーバスを新たな指揮官に迎えて日本代表が始動すると、士気高くそこに参加している。

「僕自身、オリンピックのメンバーに入って燃え尽きた感じがなく、不完全燃焼で終わっちゃったので、今回メンバーに入ることができたらその時の気持ちも含めて全力でコートで表現できたらいいと思っています」とベンドラメは意気込みを語る。

「トムさんのバスケはやることを細かく指示して、日本の良さであるスピードを生かしてプレーしようと練習に取り組んでいます。その中で相手の裏をかく、パス&ランだったりそういうプレーが増えているので、普段自分のチームだとピック&ロールを使って攻めることが多いんですけど、それよりもオフボールでの動きがすごく大事になってくるので、そこはちょっと難しいです」

誰もが新たな日本代表のスタイルを学び、そこに合わせる中で自分の持ち味を発揮していかなければならない。そこにそれぞれ難しさはあるが、ベンドラメは「生かすしかない。生かせないと言ってもメンバーになれないと思います」と迷いなく答える。

ベンドラメ礼生

「自分のアグレッシブさをしっかり表現できるスタイル」

「もちろん速い展開のバスケットは好きですし、自分のアグレッシブさをしっかり表現できるスタイルだと思います」

そうベンドラメは語るが、彼にとってもう一つ難しいのはポジションの部分だ。「2番ポジションで出るかもしれないからね、と一言言われています」と彼はトムコーチとの会話を明かす。「今の練習で2番ポジションをやっているわけではないんですけど、2ガードで速い展開のバスケを展開する上でシューティングガードのポジションをやることはあるのかなと思います。でもやっぱりメインはポイントガードとして、オフェンスを作っていければと感じています」

これは彼にとっては『再び出てきた課題』だ。かつてサンロッカーズ渋谷では2番ポジションで使われ、代表での構想は1番ポジションと、起用法の違いに苦しんだ時期があった。ただ、若手だった頃と、様々な経験を積んだ28歳の今とは違う。それが「生かすしかない」という彼の言葉にも表れているのだろう。

東京オリンピックで得た財産を問われても「今パッと出てこない感じですね。それぐらいの印象」とベンドラメは言う。「ただ、ああやって特別なオリンピックに参加できたのは、何が良かったか言葉で表すことはできないですけど、僕の中ではすごく大きいことだったんじゃないかと思います」

ベテランの中には代表でプレーする意義を自分の中で一度探す必要のある者もいた。代表経験が少なく無我夢中であろう選手もいる。そんなチームにおいて、ベンドラメは地に足が着いている印象だ。日本代表で完全燃焼するまで、彼の挑戦は続く。