「純粋に女子を世界2位まで持っていったバスケを経験してみたかった」
バスケットボール日本代表はワールドカップ予選のWindow1、今週末の中国との2連戦に向けて強化合宿を進めている。メディアデーの今日は、選手たちが取材に応じた。比江島慎は日本代表の常連だが、「新体制になっても僕を必要としてくれたのは本当に光栄で、うれしく思います」と、今回の代表にはフレッシュな気持ちで参加している。
それでも、1歳違いで長く日本代表をともに支えた田中大貴の代表引退に話が及ぶと、「正直、自分もすごく悩みました。大きな目標として東京五輪を経験して、燃え尽きないかっていうところはすごく心配でした」と胸の内を明かす。
ただ、悩んだのは代表合宿に加わる前の話だ。「世界の舞台で1勝もしていない中で終われないのが一つ、純粋にトムさんのバスケ、女子を世界2位まで持っていったバスケを経験してみたかったので、今回はその2つの理由で代表活動を続けようというところに持っていきました」
トム・ホーバスのバスケは、これまでフリオ・ラマスの代表チームが志向していたサイズとエースの個人技を重視するスタイルから一変すると予想されるが、比江島は代表合宿で触れる新しいスタイルの印象をこう語ってくれた。
「速い展開がまず違うところ。ポゼッションを増やしたいというところで、速い展開プラス、3ポイントシュートを重視した、現代バスケに特化したプレースタイルです。前との一番の違いはオフボールの動きで、そこは全員が連動して動かなきゃいけないところ、選手一人ひとりが頭を使ってやるところは全然違います。もしかしたら時間がかかるかもしれませんが、そこはやり甲斐ですし、やっていきたい」
「スペースは中にすごく空いています。そこで自分のドライブをどう生かすか」
比江島も自分でボールをプッシュして速い展開を作り出すことができ、シューターではなくとも3ポイントシュートを苦にはしないが、トムの速い展開のバスケの中で、それとはまた違った自分の持ち味を出そうとしている。
「基本は5アウトや4アウトで、スペースは中にすごく空いています。そこで自分のドライブをどう生かすかを模索中です。もちろん3ポイントシュートは一番重要視されますが、そこを狙いつつやっていけば自分の良さは出していけると思っています」
ラマスの日本代表では『海外組』の選手の得点能力に重きが置かれ、比江島の存在感が薄くなる時期もあった。だが、彼自身は様々な舞台で切磋琢磨を続ける中で、31歳になった今も成長を続けている。その力が新しい日本代表で発揮できる、という予感が彼のモチベーションになっているようだ。
「僕の良さはドライブにあると言ってくれている」と、トムコーチからの言葉を明かす比江島は、こう続ける。「ドライブをしてキックアウトだったりクリエイトしてほしいというのと、年齢的にも上になって代表の経験も多いですし、そういった経験をこの代表に生かしてやってほしいと言われています。年齢的にはベテランの域に達しているので、そこも意識しながらやっていきたいです」