レイ・アレン

写真=Getty Images

下位指名の同期とのフリースロー対決で確率が上昇

先週末にバスケットボール殿堂入りを果たしたレイ・アレンは、NBA史上に残るシューターとして確固たる地位を築き上げた。歴代1位となる通算3ポイントシュート成功数(2973)を誇るアレンは、フリースロー成功率でも同7位(89.4%)の数字を残している。

アレンは、NBA2年目からフリースロー成功率がコンスタントに90%近くを記録するようなったのだが、この裏に同期のある選手との競争により成功率が上昇したことはほとんど知られていない。『The Dan Patrick Show』に出演したアレンは、バックス時代にチームメートだった、ジェフ・ノードゲーアードとの秘話を語った。

「知っている人は少ないだろうけれど、僕はバックス時代の仲間だったジェフ・ノードゲーアードが素晴らしい選手だと思っている。ジェフとは、いつもフリースローで競争していたんだ。彼はフリースローがとても上手かった。幸いにも、僕はキャリア序盤時期に競い合えて、挑戦できる選手に恵まれたんだ。とにかく彼はフリースローに優れていて、簡単に決めるんだよ。その彼と、頻繁に競い合ったんだ」

ノードゲーアードは、アレンと同じ1996年組の選手で、全体53位でバックスから指名された。1996-97シーズンはフランスとスペインのチームに所属したノードゲーアードは、97-98シーズンにバックスで13試合に出場したのみで、キャリアスタッツは平均1.4得点、1.1リバウンド。その後はNBAでプレーせず、残りのキャリアの大半をヨーロッパで過ごした。

ノードゲーアードと出会う前の1年目のアレンは、フリースロー成功率82.3%だったが、ノードゲーアードと練習中に競争するようになり2年目には87.5%、3年目には初の90%超え(90.3%)を果たした。

指名順が選手の評価を表すものだとすれば、全体5位指名を受けたアレンと、53位指名のノードゲーアードとでは、実力差は歴然だ。しかしNBAレベルになれば、2巡目指名からスーパースターにまで成長した例は数多く存在する。ノードゲーアードはNBAで成功する道を選択しなかったが、アレンのその後に大きな影響を与えた。もし、彼というライバルに巡り会えていなかったら、レイ・アレンという名シューターは誕生しなかったかもしれない。

アレンが語った秘話は、NBAに限らず、どこにでも学ぶチャンスがあり、選手として成長するヒントが隠されていることを示す好例ではないだろうか。