トリスタン・トンプソン

「小さなミスを積み上げていくから第4クォーターですべてを台無しにする」

キングスは現地11月17日のティンバーウルブズ戦に97-107で敗れた。これで直近の6試合で1勝5敗と失速し、6勝9敗と借金がかさんでいる。試合を決めたのはアンソニー・エドワーズ一人に16得点を奪われた第4クォーターで、ウルブズの指揮官クリス・フィンチはエドワーズの活躍を「1本、2本と決めるたびに自信が増していく。第4クォーター最初のレイアップを決めたところから乗っていった」と語るが、エドワーズに引っ張られてウルブズ全体が乗った結果だ。その一方で、キングスにはそれを押し返す意思の強さが見られなかった。

キングスを率いるルーク・ウォルトンは「自分たちがやりたいプレーに徹していなかったということ」と敗因を語った。だが、その後に会見に現れたトリスタン・トンプソンはもっと辛辣な言葉を使った。

「トレーニングキャンプからずっと言っているけど、オフェンスをやることでディフェンスの課題が解決することはない。このチームが10年以上、20年近く行っていない場所に行こうと思うなら、それを理解しなきゃいけない。バスケでは勝ったり負けたりするけど、勝敗は小さなことを48分間積み重ねた結果で決まる。ウチは小さなミスを積み上げていくから第4クォーターですべてを台無しにして負けるんだ」

彼が怒っているのはこの敗戦に限らない。キングスはこのウルブズ戦がアウェー4連戦の4試合目だったが、ピストンズに勝っただけで、スパーズとサンダー、ウルブズに敗れて1勝3敗。これに対しトンプソンは「4連勝しなきゃいけなかった」と語る。一種のタブーに彼は踏み込んだ。

「スパーズやサンダーは勝ちたかったのか、本当にプレーオフに参加したいのか。おそらくそうじゃない。彼らが望むのはプレーオフじゃなくて指名権だ。ピストンズも同じだよ。ウルブズには戦力はいるかもしれないけど、本当に勝ちたいと思っているチームなのか。彼らを侮辱したいわけじゃない。みんな一生懸命プレーして、自分の持つものを出そうとしている。でも、このリーグの仕組みを僕は知っている。毎シーズン、20試合を終えた時点で彼らのメンタリティがどんなものかは分かっている」

「イライラしてるのは僕だけじゃない」とトンプソンは語る。「このチームの本当の力が分かっているからこそ腹が立つんだ。もしこのチームに可能性がないと思っていたら、こんな気持ちにはならない。僕だけじゃなく、みんな同じだ。勝ちたいと思っているのは目を見れば分かる」

プレーオフ進出には勝率5割が目指すべきラインで、トンプソンが言うように直近の4連戦を4連勝していれば9勝6敗だったところが、実際は6勝9敗となっている。NBAキャリア11年目で優勝経験もあるベテランのトンプソンは、シーズン序盤のこのタイミングでチームが悪い流れに傾きつつあることを察し、チームに必要な刺激を与えようとしているのだろう。15シーズン連続でプレーオフ進出を逃しているチームはここで立ち直ることができるのか。長いシーズンの序盤ではあるが、キングスは一つの岐路に立っている。