文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

満員御礼、黄色と赤に二分された代々木第二が沸いた

10月7日、代々木第二体育館でWリーグの開幕戦、JX-ENEOSサンフラワーズと富士通レッドウェーブが対戦した。

観客動員3165人の満員御礼、ただ入っただけでなく、黄色と赤に二分された素晴らしい雰囲気の中、ともに日本代表選手の渡嘉敷来夢と長岡萌映子によるティップオフで試合が始まる。

立ち上がり、満員の観客による応援が熱すぎた影響か、両チームとも選手はボールが手に付かず、なかなか得点が動かなかったが、町田瑠唯から篠崎澪へ繋ぐ速攻が決まって先制した富士通が7-0のランを決める。

こうして富士通が試合の主導権を握った、と思われたが、ここからは一転してJX-ENEOSの時間帯。第1クォーターも半分近くを消化したところでようやく吉田亜沙美がミドルシュートで最初の得点を奪い、チームを落ち着かせる。間宮佑圭のフリースローで差を詰め、吉田の3ポイントシュートで7-7と追い付き、宮澤夕貴の得点で逆転。さらに渡嘉敷がバスケットカウントの3点プレーを決めて突き放す。吉田の3ポイントから19-2という怒涛のランを展開し、第1クォーターを19-9で終えた。

富士通は長岡萌映子がインサイドで押し込み、振り向きざまに放つジャンプシュートを軸に反撃。篠崎も決まれば決まるほどキレを増すドライブで得点を量産するも、他の選手が続かず。特に3ポイントシュートは全く入らず、前後半で1本ずつ決まったのみ。

外からの攻めが決まらず苦しむ富士通とは対照的にJX-ENEOSは外角シュートが好調。特に宮澤は大当たりで、6本の3ポイントシュートを含む22得点で勝利に大きく貢献した。「たとえ入らなくても、打つべきシュートは打つと決めていました。それがシュータなので」と宮澤は自らのプレーを振り返る。

WNBAから戻った渡嘉敷もスタメン出場、30分以上プレー

後半に入ると富士通も粘り、篠崎がゲームハイの24得点、長岡が17得点を記録するも、吉田のゲームメークからバランス良く攻めるJX-ENEOSに終始2桁の点差を守られる。最後は吉田が切り込むと見せかけたフェイントで自らフリーを作り、ミドルシュートを決めて76-61としたところで試合終了。開幕戦の勝利を手にした。

JX-ENEOSを率いるトム・ホーバスは「開幕戦はみんな緊張していた」と出だしの重さを語るも、「最初は良くなかったけど、その後はウチのバスケットボールができた。ウチのメインはディフェンスとリバウンド。今日はそれが良かった」と試合を振り返った。

リオ五輪を終えてすぐにWNBAのシーズン終盤戦を戦った渡嘉敷来夢は、Wリーグ序盤は休養するとの予想を覆してスタメン出場。プレータイム33分27秒と「ガッツリ」試合に出て、開幕戦の勝利に貢献した。

試合後、渡嘉敷はWリーグでの抱負をこう語った。「攻める気持ちであったり、リバウンドであったり。そこを世界やアメリカでやってきたことを、日本で出せたらと思います」

敗れた富士通は、攻守に奮闘した長岡は「シュートは打てているけど決め切れない。逆にJXさんに走られてシュートを決められた。自分たちが決め切れていれば、決められない時間帯でディフェンスを頑張れていれば」と試合を振り返る。8連覇中の王者JX-ENEOSに対して「自分たちが食らい付いて勝つことが盛り上がっていくきっかけになると思うので、勝負にこだわっていきます」と、明日に意識を切り替えた。

JX-ENEOSと富士通の試合は明日も代々木第二で行われる。こちらもチケットは完売。今日と同じく熱い戦いに期待したい。