ベン・シモンズ

「彼の問題はシュートではなく、フリースローを決められないこと」

トレード成立も厳しく、当の本人はメンタル面の不調を訴えて試合にも出られない。セブンティシクサーズのベン・シモンズを取り巻く状況は一向に改善する気配がなく、もはや終着点を見いだすことすら難しい。

しかし、現役時代にピストンズでプレーしたレジェンドポイントガードのアイザイア・トーマスは、シモンズ問題を解決できる上に選手としての格を上げられる方法があると言う。シャキール・オニールが司会を務めるポッドキャスト番組『The Big Podcast with Shaquille O’Neal』に出演したトーマスは「フリースローを上達させれば万事OK」と語った。

昨シーズンのプレーオフで戦犯扱いされたことにより、シモンズはシクサーズに不信感を抱き、これまでの信頼関係が崩壊した。シモンズはウィザーズとのファーストラウンドでフリースロー成功率34.2%、ホークスとのカンファレンスセミファイナルでも32.7%に終わり、成功率の低い選手が的になる『ハック戦術』の餌食になった。トーマスはこのスタッツに着目し、同じ時代にNBAスーパースターとして歴史を築いたマジック・ジョンソンを例に出してシモンズにエールを送った。

「私からすれば、彼は役立たずな選手ではない。シクサーズのベストディフェンダーであり、オールスター、それにアシストリーダーでもある。彼の問題はシュートではなくて、ポイントガードなのにフリースローを決められないこと。チームのリーダーであるポイントガードのベン・シモンズが今より優れたファウルシューターになったら、1試合平均19得点、8リバウンド、8アシストの選手になる。そうなったら誰も文句を言わない。だからこそ、フリースローを練習しないといけない」

トーマスは「もしフリースローが改善されれば、1試合平均4点から5点は増える。そうすればインサイドでレイアップも決められるし、あらゆることが可能になる」と言う。「マジック・ジョンソンは、夏の間フリースローを特訓していた。スプリントや他の練習メニューをこなした後、フリースローを練習していた。その翌シーズンに彼は1試合8本程度(7.9本)のフリースローを獲得して、90%近くの成功率(84.8%)を記録して、平均得点も伸ばしてリーグのMVPに輝いたんだ。ベン・シモンズがフリースローを上達させれば、この問題は万事OKさ」

トーマスによれば、マジックは1986年のオフにフリースローを猛特訓し、翌1986-87シーズンにMVPを受賞した。当時のスタッツを比較すると、1985-86シーズンは1試合5.3本の成功だったのが、1986-87シーズンには6.7本に上昇。平均得点も18.8得点から23.9得点に伸びている。

ジャンプシュートの上達には気が遠くなるほどの手間と時間がかかることを考えれば、、フリースロー改善の方がはるかに簡単だ。もしシクサーズがシモンズをトレードしないのなら、球団やチームメートとの関係修復など解決すべき点は山積みだ。しかし、将来有望なシモンズのキャリアを考えると、フリースロー改善による恩恵は大きいはずだ。